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心房細動における脳梗塞予防デバイスの勉強会に参加してきました。

[2024.05.09]

心房細動は不整脈の一つですが、いくつかのトラブルが問題となります。

  1. 脳梗塞を始めとした塞栓症になりやすい。心臓、特に左心房にある左心耳、という場所に血栓(血液の塊)ができ、それがなにかのはずみに血液の流れに乗り、いろいろな血管へ流れていき、血管を突然煮詰めてしまう。そのためにその先の血流が途絶え、臓器が壊死してしまう。一番問題となるのは脳の血管が詰まった時。
  2. 心不全になりやすい。心臓から全身へ血液を送るポンプとしての役割、機能が低下する。そのために必要な量の血液を送り届けることができない。その状態を心不全といい、息切れや呼吸困難、全身疲労や倦怠感、むくみの原因となり、いずれ寿命にも大きく影響してくる。
  3. 認知症。小さい小さい血液の塊が、少しずつ脳の血管を詰めていき、いずれ脳の機能が落ちてくる。あるいは脳が必要とする血液量を送り届けることができなくなる。
  4. 失神。脈が遅くなりすぎると頭に血流が途絶え、意識が保てなくなる。5秒程度心臓が止まると意識がなくなる。

    このなかで血液の塊が出来なくなるように、抗凝固薬というものを服用し対処することが一般的です。
    ただし、有効性もあるのですが、出血という副作用も同時に問題となります。個々の患者様で抗凝固薬療法を行うかどうか、を判定し治療を行いますが、出血のリスクが高い、あるいはもうすでに大出血したことがあり大変な事態を経験している、などのときには、血栓ができる部位に蓋をして(文字通り、左心耳を閉鎖して)抗凝固薬療法がなくとも血栓ができないようにする=脳梗塞にならないようにする=脳出血リスクを減らす という治療があります。

これを左心耳閉鎖術といいいます。
左心耳閉鎖術を行えば、約ヶ月程度でサラサラ薬、抗凝固薬療法を安全に中止することが可能となります。

この薬剤を一生服用し続けるか、安全に辞めることができるか。大きな違いと思います。

現在私が所属している病院・循環器科ではこの左心耳閉鎖術を日本で特に多く治療を行っております。2024年5月現在で症例数トップレベルになっており多くの患者様を拝見しております。

患者様に安心して生活していただけるよう、アブレーションという治療で不整脈そのものを根治治癒を目指すとともに、心房細動により脳梗塞になりにくいよう、あるいは薬剤の副作用などにより脳出血にならないよう、今現在のみならず今後も安心して生活していただけるようにしております。

本日はその左心耳閉鎖術で用いるWatchman ウオッチマンという治療デバイス(治療器具)の新型が使えるようになりましたので、その講習会に参加し勉強してきました。
術者として、あるいは今後のクリニックの院長として治療器具の進化を学び、今後当院におこしいただく患者様に最新の治療のご紹介やその良し悪しをご説明し、よりよい環境、選択肢をご提供できるようにしていきたいと思います。

戸頃

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