ワクチンについての話 その1
ワクチンって本当に必要?自然にかかったほうがいいの?
よく患者さんから聞かれます。
自然に病気にかかったほうが免疫がつくからいいんじゃないか、といった声を耳にすることもあります。
でも、それは本当に安全なのでしょうか?
ワクチンの大切さと、自然感染との違いについて考えてみます。
ワクチンには「自分を守る」と「周りを守る」2つの役割があります
ワクチンを打つと、まずは自分自身が感染症にかかりにくくなる。
あるいはかかっても軽く済むようになります。
これを「個人防衛」といいます。
さらに大事なのが「社会防衛」という考え方です。
たとえば、あなたがワクチンを受けていれば、もし感染症が流行しても周りの人にうつす可能性が低くなります。
その結果、病気に弱い高齢者や小さな子どもたち、持病のある方々を守ることができるのです。
自然にかかったほうがいい?
「一度病気にかかれば、一生免疫がつくから自然に感染したほうがいい」と考える方もいます。
たしかに、自然感染で強い免疫が得られることもあります。
ですが、それには大きなリスクがあることを忘れてはいけません。
自然にかかると…
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高熱や咳、倦怠感だけでなく、脳炎・肺炎などの重い合併症を起こすことがあります。
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自分だけでなく、家族や職場の方など、周囲の人にうつしてしまう可能性があります。
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入院や薬の費用、仕事を休む負担など、経済的なダメージも少なくありません。
つまり、「自然に感染する」ことは、命や生活へのリスクと引き換えなのです。
ワクチンは最も安全で確実な予防手段
ワクチンで予防できる病気については、「ワクチンで防ぐのが最善の方法」と言い切って良いでしょう。
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感染を未然に防ぎ、重症化を避ける
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合併症のリスクを減らす
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周囲に感染させない
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医療費や社会的コストを抑える
ワクチンは、個人と社会の両方を守る知恵なのです。
もちろん、副反応(熱や腕の腫れなど)が起こることもあります。
それらは通常一時的なもの。
重い副作用が起こる確率は、自然感染による合併症よりもはるかに低いとされています。
正しく知って、正しく選ぶ
ネットやSNSでは、ワクチンに関する不安や誤解も多く広がっています。
でも、予防接種の効果や安全性、そして社会的意義については、信頼できる医療情報に基づいて冷静に判断する姿勢が大切です。
当院では、ワクチンのメリット・デメリットについて、患者さん一人ひとりに合わせて丁寧にご説明しています。
疑問や不安がある方も、どうぞ気軽にご相談ください。
あなたの一歩が、未来を守る
「たった一人がワクチンを打ったところで…」と思われるかもしれません。
でもその一歩が、家族を守り、地域を守り、未来の誰かの命を救うことにもつながるのです。
予防接種は、思いやりの医療と言えるのかもしれません。
何を打てばいいのかわからない、という相談もいただきます。
どうぞ安心して、ご相談ください。