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COPD 慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは

従来、慢性気管支炎肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。

 

タバコの煙など有害物質の吸入によって起こります。

 

呼吸機能検査で閉塞性換気障害を呈する肺疾患です。

 

中高年に発症する生活習慣病といえます。

 

何人くらいいるの? 

世界の死因の第4位です。(WHO 2024年統計)

 

日本での推定COPD患者は530万人です。

 

現在、わかっている総患者数は36万人。

 

つまり多くの方は、未診断。

 

治療を受けてもいないという状況です。

 

COPDはどんなときに疑うの?

長期に喫煙されている方が息が苦しい、息が切れる、たんがずっと出続けるなどの呼吸器症状を自覚されているときにCOPDの可能性を疑います。

 

受動喫煙も注意が必要です。

 

長期喫煙とは?

1日にタバコ20本・一箱を20年吸っていれば(20 pack year )、COPDである可能性は20%と見積もります。

 

Pack yearとは?

(一日のタバコの箱数)  x  (喫煙年数) です。

2箱x30年 で60 pack yearと表現します。

20 pack yearでCOPDである可能性は20%

60 pack yearで 70%   であると考えます。

 

原因は?

タバコの煙を吸入することにより、肺の気管支に炎症が起きます。

 

咳やたん、が出たり気管支が細くなることにより空気の流れが低下します。

 

また、気管支が枝分かれした奥にぶどうの房状の小さい袋である肺胞(はいほう)が破壊されます。

 

進行すると肺気腫という状態になり、酸素の取り込み二酸化炭素を排出する機能が低下します。

 

症状にはなにがある?


息切れ、が一番多く辛い症状です。

「ゆっくり」「徐々に」悪くなることが特徴です。


毎日症状が出現し、運動時に症状が悪化することも特徴です。

 

最初の時期の症状は軽度で、坂道や階段を登ったときだけに現れます。

 

徐々に進行していき、平地を歩いているだけでも息切れが出るようになります。

 

毎日の症状ではない場合に、気管支喘息や心臓病による症状の可能性も疑います。

 

急に呼吸苦が悪化したばいい、肺炎、心不全、気胸、肺塞栓などの病気の可能性を考えます。

 

特に注意が必要なのは、COPDでは、肺炎や心不全は合併がよくみられる、ということです。

 

呼吸器系の免疫が落ちている、長期喫煙により動脈硬化が進行して心臓の機能が落ちている、可能性がある、ということです。

 

単に、風邪をひいただけでも、息切れは強くなります。

 

循環器内科に相談に来られる患者さんでは、心臓も、肺も、病気を抱えられているというは珍しく有りません。

 

両方をしっかり治療しながら、まずは症状を取り、苦しさから開放し、その後の進行を止めるための治療が続きます。

 

診断するには?

長期の喫煙歴があり、長く続くせきたん、動いたときに息切れ症状があればCOPDを疑います。

 

確定診断にはスパイロメトリーという呼吸機能検査が必要です。

 

最大努力で呼出した時にはける全体量(努力性肺活量)とその時に最初の1秒間ではける量(1秒量)を測定し、その比率である1秒率(1秒量÷努力性肺活量)が気道の狭くなっている状態(閉塞性障害)の目安になります。

 

気管支拡張薬を吸入したあとの1秒率が70%未満で、その他の疾患を除外できればCOPDの診断になります。

 

また、重症例では胸部エックス線画像で肺の透過性亢進や過膨脹所見が見られることもありますが早期診断には役立ちません

 

つまり、かなり進行した状態ならレントゲン検査でわかりますが、その時点で重症です。

 

CT検査では肺胞の破壊が検出され、早期の気腫病変も発見できます。

 

当院では、いつでも当日に CTスパイロメトリー(呼吸機能検査)が可能です。

 

症状で困っていない方でも、1−2年おきにこの2つの検査を行っていれば、進行状態の把握が可能です。

 

(院長個人の経験で、COPDの1年おきの検査でたまたま肺がんが見つかり、非常に早期に治療をうけられた方もいらっしゃいました。)

 

また、COPDは全身の炎症、極度の痩せ、筋力低下、栄養障害、骨粗鬆症などの併存症をともなう全身性の疾患です。

 

これらの肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、併存症も含めた全身病状の評価や治療が必要になります。

 

どうやって治療するの? 


COPDに対する管理の目標

(1)症状をとること。

動いて苦しい、は辛いので、まずは楽に動けるようになることが重要です。

 

(2)運動能と身体活動性の向上および維持

動くためには筋力が必要です。

 

苦しさのせいで運動もできなくなり、筋力も落ちていきます。

 

苦しさを緩和したあとには、足の筋肉呼吸のための筋肉を鍛えます。

 

肺が戻ってこなくとも、呼吸筋が強くなれば症状は感じにくくなります。

 

(3)増悪の予防

COPDになった方の90%は喫煙者です。

一生分吸ったと思った方が良いです。

 

禁煙です。

 

そして、感染予防が重要です。

 

うがい、手洗いから始めます。

できれば、各種予防接種がお勧めです。

 

インフルエンザ、肺炎球菌、RSウイルスなどです。

 

熱が出る、という症状より、呼吸がとても苦しくなる、ということが問題です。

 

肺炎になると、とてつもなく、苦しくなります。

 

(4)疾患の進行抑制

禁煙です。

 

(5)全身併存症および肺合併症の予防と治療

心臓病、腎臓病チェックと管理が重要です。

 

併せて予防接種が重要です。

 

(6)生命予後の改善

徐々に進行するにしても、その進行を遅らせらることを目標にします。

 

とにかく喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいます。

 

禁煙が治療の基本です。

 

薬は?

3つの吸入薬が基本です。

 

長時間作用型抗コリン吸入薬(LAMA)   ; 気管支拡張薬 

 

長時間作用型Beta2刺激吸入薬(LABA);気管支拡張薬

 

吸入ステロイド(ICS);好酸球性炎症 を抑制する

 

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022

 

治療の強さでは 

 LAMA > LAMA+LABA 

の順で強くなります。

 

当院でも、LAMAから治療を開始します。

 

ただし

 

・気管支喘息を合併している

・好酸球数≧300μL

・1年間で2回以上増悪発作があった

 

という条件があるときには

ICS/LABA/LAMA という3成分を配合した吸入薬を用います。

 

逆に肺炎になることがあれば、ICS(ステロイド)成分を中止します。

 

ドライパウダータイプは高齢になると、吸いきれない、と考えています。

基本的に、エアータイプをおすすめしています。

 

薬以外でどうにかならないか?

COPDには根治がないのです。

 

薬で症状を楽にする、以外では、先ほどもご説明した通り、筋肉の力です。

 

呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸腹式呼吸などの呼吸訓練運動療法栄養療法など)が中心となります。

 

筋力をつけるための食事、という考え方にも繋がります。

 

低酸素血症が進行してしまった場合にはHOT  在宅酸素療法が必要になります。

 

さらに呼吸不全が進行した場合は、小型の人工呼吸器とマスクを用いて呼吸を助ける換気補助療法が行います。

 

急に悪くなる=増悪発作のげんいn感染が一番問題となります。

 

細菌感染ならば抗生剤が必要になります。

 

気管支喘息を合併している場合には、また管理の方法も合わせて調整を行います。

 

戸頃循環器内科クリニック】では、COPDの診断・治療を行います。

 

的確な診断と、迅速な治療、豊富な治療経験をもとにCOPDで苦しむ患者さんのお力になれるよう外来診療を行っております。

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