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ちょどいい運動とは

[2025.02.09]

「運動は体にいい」とよく言われます。

実際、クリニックでも運動についてよくお話、おすすめをしています。

どれくらいの運動が「ちょうどいい」のか、という話です。

「とにかく動けばOK」と思っている方もいれば、「週5回ジムに行かないと効果がない」と思っている方もいるかもしれません。

実は、運動には“最適な量”があります。

今日は、運動の強さと心臓の関係についてになります。

 

運動を考えるとき、強さ、と、時間、を考えます。

 

運動の強さ、METs(メッツ)って?

運動の強さを測る単位に METs(メッツ) というものがあります。

これは「安静時のエネルギー消費を1として、運動が何倍のエネルギーを使うか」を示すものです。

例えば

テレビを見ながらゴロゴロ → 1 MET(安静)

のんびり散歩 → 2 MET(ちょっと活動)

速歩 → 4 MET(適度な運動)

 山登りやランニング → 7~10 MET(激しい運動)

 マラソンやプロスポーツ選手のレベル → 12 MET 以上(超ハード)

 

運動のしすぎは、実は心臓に負担です。

運動はすればするほど健康にいい」と思いがちですが、実はやりすぎると逆効果になることがあります。

適度な運動(4~6 METs)は 心疾患リスクを30~50%減らすことがわかっています。

 でも、10 METs 以上の運動を長時間続けると 心筋がダメージを受けたり、不整脈のリスクが増えることもあります。

 

つまり、運動は「ほどほど」がベスト。

何でもそうですが、ラーメンの替え玉も、1回なら美味しくても3回目くらいで「ちょっと苦しい…」ってなりますよね。

運動もそれと同じで、「ちょうどいい強さ」が重要なんです。

Trends Cardiovasc. Med . 2016 Apr;26(3):232-40

この論文では、運動のメリットについて記載されています。

日常的に運動することで、心臓血管病になりにくくなり、血圧も下がる。

体重が減り、悪玉コレステロールも減る。

メンタル面では、不安やうつも減り、認知症になりにくくなる。

前立腺がん、乳がん、大腸がんにもなりにくくなることが報告されています。

 

 

だだし。

運動のメリットはUシェイプである、と論じています。

このUシェイプ、というのは医学論文ではときおり出てくる、ほどほどがあるというときの形です。

縦軸、イベント、と書いてあるのは、上に行くほどトラブルが多い、ということです。

横軸、フィジカルアクティビティというのは運動の強さについてです。

右に行くほど強い運動、 高メッツ ということです。

 

5−10メッツの強さが、もろもろメリットが高いということ。

12メッツを超える運動では、心房細動になりやすくなり、心筋は線維化し、右室機能が低下するということです。

右室機能が低下すると、足がむくみやすくなったり、不整脈が出やすくなったりします。

 

週150分くらい運動するのを推奨しますよ! と書いてあります。

 

 

心臓に優しい「ちょうどいい運動」とは

では、心臓を健康に保つための最適な運動はどれくらいなのか。

、週に150分の中程度の運動(速歩など)

または75分の強度の運動(ジョギングなど)です。


具体的には…

1日30分の速歩(4 METs)を週5回

週2~3回、少し息が上がる運動(6 METs)を20~30分

サイクリング軽いゴルフヨガ なども効果的ですね。

足腰に痛みがある方は、水中歩行 もおすすめです。

浮力により、負担がかかりにくく筋力も鍛えられます。

 

極端に動かないのも、やりすぎもよくないです。

ちょうどいい運動を続けることが大切です。

「運動不足かも?」と思ったら、まずは 散歩の速度を上げるのがおすすめです。

今どきは、スマホに万歩計もついていることが多いです。

1日 6000~8000歩 を目安にすると良いですね。

心臓を大切にしながら、楽しく運動を始める・続けるのが良いです。

まだ寒い日が続きますが、歩いているとこの寒さも気持ちよくなる時期でもあります。

まずは、散歩を始める。

つぎは、続ける。

ということです。

 

最近、初めて当院にいらした方の相談をいただきました。

運動習慣はまったくない。

でも、心臓や動脈硬化が心配だ。

運動始める前に心臓ドックで心臓や血管の状態を確認して、運動の不安を解消したい。

そのうえで、自分に一番あった運動の強さや時間を教えてほしいとリクエストを頂きました。

病気の治療でなく、予防のための来院です。

その時に上記のようなことも一緒にお話しました。

安心して運動ができると言われておりました。

次は、続けられるように必要時にサポートしていくことです。

当院では、その人に合わせて続けられる運動の提案を行うことも致します。

検査を受けるのなら、その結果を最大限有効に活用したいものです。

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