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健診で「左室肥大」と言われたときに読む話。

[2025.11.11]

2025年の特定健診の期間が終わりました。

二次検診として 「左室肥大があります」
と言われて、心配になって来院される方がよくいらっしゃいます。

この「左室肥大」とは何なのか、

なぜ起こるのか、放っておくと何が問題になるのか、についての話です。

 

左室肥大とは「左心室の壁が分厚くなった状態」

心臓には4つの部屋があります。

そのうち
全身に血液を送り出すポンプの部屋が「左心室」です。

 

この左心室に長い間 強い負担がかかると、

  • 左心室の筋肉(心筋)が“筋トレのしすぎ”のように分厚くなる

  • 心臓の中の空間(血液が入るスペース)が狭くなる

  • かたくなって、拡がりにくく(拡張しにくく)なる

といった変化が起こります。

この左心室の壁が分厚くなりすぎた状態」を、医学用語で
左室肥大(さしつひだい)と呼びます。

 

足や腕、腹筋などは筋肉モリモリは鍛えられている感じに思えます。

でも心臓においては違います。


「鍛えられて強くなった」だけではなく、
心臓にとってむしろマイナスになる行き過ぎた変化になっている、ということです。

 

 

なぜ左室肥大になるのか

原因はいくつかありますが、代表的なものいくつか。

1.高血圧が長く続く

一番多いのが高血圧です。

血圧が高い状態が何年も続くと、

  • 心臓は「高い圧」に逆らって血液を押し出さないといけない

  • すると左心室に「重い負荷」がずっとかかる

  •  

その結果、
壁を分厚くして無理やり頑張るようになる → 左室肥大
ということです。


2.心臓の弁の病気(弁膜症)

例えば、

  • 大動脈弁狭窄症(出口の弁が狭くなる病気)

  • 大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症(逆流が起きる病気)

などがあると、

  • 狭い出口をこじ開けるために強い力が必要になったり

  • 逆流してくる血液をなんども送り出すために二度手間、三度手間をします。

    その結果、やはり左心室が分厚くなっていきます。

3.生まれつき・遺伝的な病気

肥大型心筋症という、心筋そのものが分厚くなりやすい病気もあります。

これは高血圧とは別で、遺伝子の変化が関係しています。

専門的な評価が必要になります。

 

左室肥大があると、どんな症状が出る?

初期の左室肥大は症状がほとんど出ないことが多いです。

健診で見つかる場合は、基本的に無症状です。

言い換えれば初期の事が多いですs。

 

そのため、健康診断の心電図などで「たまたま見つかる」パターンも少なくありません。

 

進んでくると、いろいろ症状が出てくることがあります。

  • 階段や坂で息切れしやすい

  • 胸が苦しくなる、締め付けられる感じ

  • 動悸を感じる(ドキドキ、脈が飛ぶ感じ)

  • むくみや体重増加(心不全のサイン)

ただし、症状だけでは原因が分かりづらいので、
画像検査や心電図でしっかり評価することが大切です。

 

 

どうやって見つけるのか

1.心電図

心電図では、

  • 波形の振れ幅(電位)が大きくなる

  • ST-T変化(虚血や負荷を示すパターン)が出る

などから左室肥大が疑わしいと判断します。

ただし、

  • 肥大があっても心電図が正常のこともある

  • やせ型の方や若いスポーツ選手では、「電位が高いだけ」で実際には肥大がない場合もある

ため、心電図だけでは決め手になりません

2.心エコー(心臓超音波検査)

左室肥大の評価の中心になるのが心エコーです。

  • 左心室の壁の厚さ

  • 心臓の大きさ(内腔の広さ)

  • 心筋の量

  • 拡がりやすさ・縮みやすさ

を、超音波で詳しく見ることができます。

左室肥大が疑われる場合には、
心エコーで「どの程度の変化があるのか」「原因は何か」を確認することがとても重要です。

 

左室肥大を放っておくと何が問題か

ここが一番重要です。

左室肥大があると、将来の心臓・血管のトラブルのリスクが高くなることが分かっています。

代表的なものとしては、

  • 心不全(息切れ・むくみ・だるさなど)

  • 不整脈(心房細動、危険な心室性不整脈)

  • 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患

  • 脳卒中

  • 突然死のリスク増加

などです。

 

つまり、

左室肥大はすでに心臓に負担がたまっているサインといえます。

 

左室肥大は治るのか?

治療・予防の基本は、原因となっている負担を減らすことです。

1.血圧をきちんと下げる

高血圧がある方なら

  • 家庭血圧も含めた丁寧な測定

  • 必要に応じた降圧薬の調整

  • 減塩(1日6g未満を目安)

  • 体重のコントロール

などを通して、ガイドラインの目標値に近づけることが非常に重要です。

適切な治療で血圧を下げると、
時間をかけて左室肥大が改善していくことも多く、将来のリスクを下げられることが分かっています。

長い時間をかけて左室肥大となっていくため、治療してからの改善も長い時間がかかります。

症状が出てから治療しても、なお、長い時間を要します。

 

2.弁膜症やその他の病気の評価

弁の病気が疑われる場合には、心エコーでの詳しい評価が必要になります。

早めに原因を把握しておくことで、悪くなる前に手を打つことができる可能性が高まります。

必要に応じて、心筋生検やMRIで心臓の筋肉性状を調べたりもします。

 

3.生活習慣の見直し

  • 塩分控えめの食事

  • 適度な有酸素運動

  • 飲酒量の調整

  • 睡眠時無呼吸が疑われる場合は、検査・治療

なども、心臓の負担を減らすうえでとても大切です。

特に睡眠時無呼吸症候群は、本人もまったく気づいていないことがあります。

 

当院でできること

戸頃循環器内科クリニックでは、

  • 高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の管理

  • 心電図・心エコーによる左室肥大の評価

  • 必要に応じた心臓CTなどによる精密検査

  • 生活習慣についての具体的なアドバイス

などを通して、「今の心臓の状態」と「これからどう気をつけていけばよいか」を一緒に考えていく診療を大切にしています。

「左室肥大と言われて不安になった」

「高血圧を長く放っておいてしまった」

「最近、息切れや動悸が増えた気がする」

このような方は、一度ご相談いただければと思います。

今からでも、間に合います。

 

左室肥大は、「今すぐ大事件」というより、
「この先の心臓のトラブルを予防するために、今から気をつけましょう」というサインとも言えます。

健診が病気を早期に発見する、のが意義だとすれば、健診で左室肥大を言われたときにはすぐに心エコーできる当院へ受診されるのをおすすめします。

ご不安なことがあれば、受診の際に遠慮なくお尋ねください。


一緒に、ご自身の心臓の状態を確認しながら、無理のない対策を考えていきましょう。

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