健診で「左室肥大」と言われたときに読む話。
2025年の特定健診の期間が終わりました。
二次検診として 「左室肥大があります」
と言われて、心配になって来院される方がよくいらっしゃいます。
この「左室肥大」とは何なのか、
なぜ起こるのか、放っておくと何が問題になるのか、についての話です。
左室肥大とは「左心室の壁が分厚くなった状態」
心臓には4つの部屋があります。
そのうち
全身に血液を送り出すポンプの部屋が「左心室」です。
この左心室に長い間 強い負担がかかると、
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左心室の筋肉(心筋)が“筋トレのしすぎ”のように分厚くなる
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心臓の中の空間(血液が入るスペース)が狭くなる
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かたくなって、拡がりにくく(拡張しにくく)なる
といった変化が起こります。
この左心室の壁が分厚くなりすぎた状態」を、医学用語で
左室肥大(さしつひだい)と呼びます。
足や腕、腹筋などは筋肉モリモリは鍛えられている感じに思えます。
でも心臓においては違います。
「鍛えられて強くなった」だけではなく、
心臓にとってむしろマイナスになる行き過ぎた変化になっている、ということです。
なぜ左室肥大になるのか
原因はいくつかありますが、代表的なものいくつか。
1.高血圧が長く続く
一番多いのが高血圧です。
血圧が高い状態が何年も続くと、
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心臓は「高い圧」に逆らって血液を押し出さないといけない
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すると左心室に「重い負荷」がずっとかかる
その結果、
壁を分厚くして無理やり頑張るようになる → 左室肥大
ということです。
2.心臓の弁の病気(弁膜症)
例えば、
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大動脈弁狭窄症(出口の弁が狭くなる病気)
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大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症(逆流が起きる病気)
などがあると、
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狭い出口をこじ開けるために強い力が必要になったり
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逆流してくる血液をなんども送り出すために二度手間、三度手間をします。
その結果、やはり左心室が分厚くなっていきます。
3.生まれつき・遺伝的な病気
肥大型心筋症という、心筋そのものが分厚くなりやすい病気もあります。
これは高血圧とは別で、遺伝子の変化が関係しています。
専門的な評価が必要になります。
左室肥大があると、どんな症状が出る?
初期の左室肥大は症状がほとんど出ないことが多いです。
健診で見つかる場合は、基本的に無症状です。
言い換えれば初期の事が多いですs。
そのため、健康診断の心電図などで「たまたま見つかる」パターンも少なくありません。
進んでくると、いろいろ症状が出てくることがあります。
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階段や坂で息切れしやすい
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胸が苦しくなる、締め付けられる感じ
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動悸を感じる(ドキドキ、脈が飛ぶ感じ)
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むくみや体重増加(心不全のサイン)
ただし、症状だけでは原因が分かりづらいので、
画像検査や心電図でしっかり評価することが大切です。
どうやって見つけるのか
1.心電図
心電図では、
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波形の振れ幅(電位)が大きくなる
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ST-T変化(虚血や負荷を示すパターン)が出る
などから左室肥大が疑わしいと判断します。
ただし、
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肥大があっても心電図が正常のこともある
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やせ型の方や若いスポーツ選手では、「電位が高いだけ」で実際には肥大がない場合もある
ため、心電図だけでは決め手になりません。
2.心エコー(心臓超音波検査)
左室肥大の評価の中心になるのが心エコーです。
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左心室の壁の厚さ
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心臓の大きさ(内腔の広さ)
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心筋の量
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拡がりやすさ・縮みやすさ
を、超音波で詳しく見ることができます。
左室肥大が疑われる場合には、
心エコーで「どの程度の変化があるのか」「原因は何か」を確認することがとても重要です。
左室肥大を放っておくと何が問題か
ここが一番重要です。
左室肥大があると、将来の心臓・血管のトラブルのリスクが高くなることが分かっています。
代表的なものとしては、
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心不全(息切れ・むくみ・だるさなど)
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不整脈(心房細動、危険な心室性不整脈)
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狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患
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脳卒中
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突然死のリスク増加
などです。
つまり、
左室肥大はすでに心臓に負担がたまっているサインといえます。
左室肥大は治るのか?
治療・予防の基本は、原因となっている負担を減らすことです。
1.血圧をきちんと下げる
高血圧がある方なら
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家庭血圧も含めた丁寧な測定
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必要に応じた降圧薬の調整
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減塩(1日6g未満を目安)
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体重のコントロール
などを通して、ガイドラインの目標値に近づけることが非常に重要です。
適切な治療で血圧を下げると、
時間をかけて左室肥大が改善していくことも多く、将来のリスクを下げられることが分かっています。
長い時間をかけて左室肥大となっていくため、治療してからの改善も長い時間がかかります。
症状が出てから治療しても、なお、長い時間を要します。
2.弁膜症やその他の病気の評価
弁の病気が疑われる場合には、心エコーでの詳しい評価が必要になります。
早めに原因を把握しておくことで、悪くなる前に手を打つことができる可能性が高まります。
必要に応じて、心筋生検やMRIで心臓の筋肉性状を調べたりもします。
3.生活習慣の見直し
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塩分控えめの食事
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適度な有酸素運動
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飲酒量の調整
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睡眠時無呼吸が疑われる場合は、検査・治療
なども、心臓の負担を減らすうえでとても大切です。
特に睡眠時無呼吸症候群は、本人もまったく気づいていないことがあります。
当院でできること
戸頃循環器内科クリニックでは、
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高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の管理
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心電図・心エコーによる左室肥大の評価
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必要に応じた心臓CTなどによる精密検査
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生活習慣についての具体的なアドバイス
などを通して、「今の心臓の状態」と「これからどう気をつけていけばよいか」を一緒に考えていく診療を大切にしています。
「左室肥大と言われて不安になった」
「高血圧を長く放っておいてしまった」
「最近、息切れや動悸が増えた気がする」
このような方は、一度ご相談いただければと思います。
今からでも、間に合います。
左室肥大は、「今すぐ大事件」というより、
「この先の心臓のトラブルを予防するために、今から気をつけましょう」というサインとも言えます。
健診が病気を早期に発見する、のが意義だとすれば、健診で左室肥大を言われたときにはすぐに心エコーできる当院へ受診されるのをおすすめします。
ご不安なことがあれば、受診の際に遠慮なくお尋ねください。
一緒に、ご自身の心臓の状態を確認しながら、無理のない対策を考えていきましょう。
