1%の毎日
1%のリスク
という薬剤なり治療なりの説明を受けたとします。
例えば、「この薬の副作用が出る確率は1%です」と言われたら、
「そんなに低いなら大丈夫」と思う方が多いのではないでしょうか?
でも、その1%を何度も繰り返したら、どうなるでしょう?
宝くじで考えてみます。
たとえば、1%の確率で当たるくじを、1回だけ引いたら。
当たる可能性は 1%(100人に1人)
でもそれを100回引いたら?
「100回やれば1回は当たるでしょ!」と思う方が多いと思います。
願望としては、100回やって100回当たりたい、というのはわかります。
正確に言うと、100回引けば、
約63回に1回くらいの割合で「1回以上当たる」
という結果になります。
どうして63%? 計算の仕組み
難しい計算は抜きにして、考え方だけ説明します。
1回のくじで「当たらない」確率は99%です。
100回くじを引いて、毎回ハズレる確率を考えると…
0.99の100乗
なので、100回中1回でもあたる確率は
1−(0.99の100乗)
=0.634.....
→ だいたい「36%」くらいになります
ということは、
→ 「1回でも当たる確率」は、100% − 36% = 64%くらいになる、ということです。
健康の話でいえば
たとえば、ある習慣が「病気のリスクを1%高める」として
それを毎日続ければ、100日で63%、
1年間(365日)では、なんと97%以上の確率で起こる可能性があるんです。
積み重ねの結果は怖いですよね。
でも逆に考えれば…
「毎日ちょっとだけ健康に良いことをする」
-
たとえば、5分だけ歩く
-
夜ふかしを1日我慢する
-
おやつを1回だけ控える
こうした「良い行動」も、繰り返せば健康リスクを下げてくれるんです。
積み重ねの結果はすごく頼もしいですよね。
「たった1%」の良いことも悪いことも、毎日積み重なると、結果は大きく変わります。
人生も、健康も、ある意味くじ引きのようなものと言えるのかもしれません。
毎日1枚、未来のくじを引いているのだとしたら、なるべく「当たりくじ」を多く引けるような選択、行動が望ましいように思えます。
気になる生活習慣、薬のこと、予防のことなど、当てはまるかもしれません。
メリット、デメリットなどと考え、内服薬や治療方針などでは決まっていき、都度調整されていきます。
実際には。
大事なのは、過度にデメリットを軽く考えすぎたり、あるいは重く考えすぎたりしないこと。
節目節目ごとに方針を見直したり点検したりしていくような慎重で丁寧な姿勢。
数学的には色々計算できますが、実際何が起きてもすぐに対処できる姿勢は重要だと思います。
医学論文で、1万人対象ではこれがいいとわかった、と言われていたとしても、自分の目の前にいる人には、それが当てはまっているのか、本当にいいかどうかは、いつでもしっかり考えるべきであると思っています。