コロナ感染後の動悸息切れ胃腸の不調について
昨日は、コロナ感染がまた増えてきています、という話をいたしました。
循環器内科医として、コロナのことを考えるときに思い出す患者さんたちがいます。
「コロナにかかった後、体調がなかなか戻らない」
「治ったと思っていたのに、息切れや動悸がする」
という不調を感じていた方々です。
なかには、胃腸の調子を崩して来院される方もいました。
実はこうしたなんとなくの不調、の中に心筋炎(しんきんえん)と呼ばれる心臓の病気が潜んでいることがあります。
心筋炎とは?
心筋炎とは、心臓の筋肉(心筋)に炎症が起きる病気です。
原因はウイルス感染(風邪やインフルエンザなど)が多く、最近では新型コロナウイルス感染後の合併症として報告されています。
私自身も、病院勤務医時代に、多くコロナ感染後の心筋炎患者さんを診ました。
高校生ぐらいから80歳代まで幅広くいらっしゃいました。
特に気をつけたいは
「軽症で済んだ」
「ワクチンを打っていた」
そんな場合でも、心筋炎が数日~数週間遅れて発症することがあるという点です。
こんな症状にご注意ください
コロナ感染後に、以下のような症状がある方は、念のため内科や循環器科の受診をおすすめします。
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息切れしやすい、階段で動悸がする
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胸の痛みや圧迫感(特に横になると悪化する)
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動悸、脈の乱れを感じる
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微熱や倦怠感が続く
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血圧が下がってフラフラする
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原因のはっきりしない胃のむかつきや食欲低下
※特に、基礎疾患(高血圧・糖尿病など)がある方や、運動を再開したばかりの方は要注意です。
検査や診断について
心筋炎は、血液検査・心電図・心臓エコー・血中BNP値やトロポニンといった検査指標から判断します。
当院では、エコーやトロポニンを当日に検査結果が確認できますので、基本的に即日診断可能です。
心筋炎の超初期ではエコー検査でわかりにくく、時間を明けて再検査が必要なこともあり慎重さも必要な点が重要です。
胃腸症状の裏に「心臓」があることも
実は、心筋炎や心不全の初期に
食欲不振
胃もたれ
吐き気
などの消化器症状が現れることもあります。
「胃薬を飲んでも治らない」
「内視鏡で異常がなかったのにずっと調子が悪い」
という方は、全身状態の一部として心臓の働きを確認することも重要です。
胃がもたれるのに、心臓?と感じるかもしれません。
心臓を支配している神経は、一部胃を支配している神経と共用しているため
同じような症状に感じることがあります。
心筋炎や心不全になっていることもあります。
コロナ後は心臓にも目配せを
コロナは、のどや肺だけでなく血管や心臓にも炎症を起こすウイルスです。
風邪のような症状で治っても、少しでも違和感があれば“ 心筋炎 ”を疑う視点を持つことが重要です。
特に、「回復後のだるさ」や「原因不明の不調」が長引く場合は、一度ご相談ください。