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糖尿病 アメリカでの標準治療2026アップデートについて

[2025.12.23]

今年もアメリカにおける標準治療が新規刷新されました。

アメリカ糖尿病学会からになります。

日本とは保険診療の制度など異なるため、そのまま日本で通用する話ではありません。

それでも、世界中の糖尿病に関わる医師が目を通したり、参考にする内容です。

 

循環器内科として、特に参考になる点についてまとめておきます。

1) 血圧:血圧の目標設定と下げ方について

  • 高リスク(心血管 or 腎リスクが高い)では 収縮期 <120 mmHg を推奨

    薬物治療は“開始して終わり”じゃなく 目標に向けて調整していく。

    >何年も同じ薬を飲み続けるのではなく、状況や状態によって内服薬を変えていくことの重要性が言われています。

    日本では四季があり、夏や冬で血圧の上がり方・下がり方も違います。

    特に家庭血圧を参考に調整していくことが重要と考えます。 

  • ACE阻害薬/ARB:アルブミン尿陽性や eGFR<60 を伴う高血圧では、腎進行・心血管イベント抑制目的で「最大忍容量まで」強く推奨 。

    >この薬剤は、できるだけ許容できる最大量で内服することで、腎臓や血管を守る力が増えていくことが多くの研究で示されています。

    安全管理(超重要)
    :ACE/ARB/MRA開始後の eGFR低下・K上昇のモニタ頻度、利尿薬の低Kも意識すること。

    >特に新しく内服薬を開始したあと、あるいは増量調整したあとには、血圧だけでなく血液検査によって効果のみならず、副作用についてもしっかり確認することが大切です。

    糖尿病では、特に血圧の管理目標値と、なんの薬で血圧を下げるのか、ということが重要です。


2) 脂質:スタチンを軸に、余計な足し算を減らす

  • スタチン内服中に フィブラート/ナイアシン/ω3サプリを追加しても追加の心血管リスク低下がないので避ける

    (=「LDL管理の徹底」と「適応のある薬を正しく」が重要)

    >心筋梗塞後では、スタチンにEPAを併用すると心筋梗塞再発リスクを下げる、という研究データはありますが、糖尿病一般、という観点からは、意義が少ない、ということです。


3) 心不全:HFpEFは“循環器×糖尿病の主戦場”

  • 2型糖尿病+症状があるHFpEFでは、dual GIP/GLP-1 RA(心不全症状・イベント低下の実証があるもの)を推奨に追加、GLP-1 RAも心不全関連の症状/イベント改善が示されたものを位置づけられました。

    >日本と決定的に違うのは、このGLP1関係の適応です。
    糖尿病の治療が、即心不全の治療を提言しているのがアメリカの特徴です。

    そのため、日本でも2型糖尿病で、更に心不全を合併しているときには積極的にGLP1の注射治療を考える価値があります。

  • さらに、T2D+肥満+症状があるHFpEFでは dual GIP/GLP-1 RA または GLP-1 RAを、HFイベント減少・症状改善目的で推奨。

    >体重管理は非常に重要です。さらに、薬で痩せることで心不全の治療にも良い効果がる、というのがこの数年の研究の成果といえます。

 

4) 腎機能(eGFR)とアルブミン尿(UACR):循環器が拾うべき予後の鍵

  • 2型糖尿病+慢性腎障害では SGLT2阻害薬が腎進行と心血管イベントを下げる

    eGFR ≥20 まで推奨となっています。

    透析開始までできれば継続しようとなっています。

    副作用が出ていないか非常に注意して継続する状況です。
     

  • 慢性腎障害+アルブミン尿では 非ステロイド性MRAを推奨(eGFR≥25)+ 開始1か月後に血清カリウム測定

    非ステロイド性MRAは、商品名で言うと ケレンディア、という内服薬です。

    もともと糖尿病性腎症で腎臓保護作用がある、という日本での保険適応になっていますが、心不全治療薬としての有用性がある、という研究データがあります。

    おそらく近日中にも、心不全治療薬としてこのケレンディアは日本でも承認されそう、という噂を聞いた気がします。



5) “心腎代謝(CKM)”として統合して説明する

  • 生活習慣+血糖+血圧+脂質+心腎保護薬  

    これをセットで考える時代です。

    どれか一つをつまんで治療、では糖尿病を治療するということにはならない、ということです。

    これはアメリカでも日本でも言えることと思います。

 

今回のアップデートは上記の他にも多くの情報や今の時代の医療の考え方などが紹介、提言されています。

糖尿病の患者さんの睡眠をしっかり評価してサポートしよう、などは当院の診療のテーマの一つ、ぐっすり眠る、に通じるものです。

 

あるいは、どの治療が良いか? という考え方から、

患者さん自身が大事にしている価値観

併存している病気の状況

予後

さらに

経済的要素もしっかり考え治療を組み立てる必要があるということ明言しています。

 

効果のあるいい薬でも薬代が高くて服用し続けられない、続けられないのなら、その患者さんにとっては価値が低い医療、と考えています。

 

ガイドラインに準じて、最新で最高の内服薬を組み合わせるのも一つ。

薬代をより安くしていき、そのなかでもなるべく有効性が高く、より副作用が少なく、より良い治療を提供するのも一つ。

 

考えることがたくさんあります。

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