花粉症の薬をとめると、痒みが出るときに読む話。
花粉症。
アレルギー性鼻炎。
今年もスギ、ヒノキは1,2月ごろから多くの方が辛い思いをされている方が、5月辺りまで多く来院されました。
症状を楽にするためには、抗ヒスタミン薬が著効します。
アレルギーの原因がわかっている方は、どの時期まで服用するのがいいかも予測が可能です。
ただ、なかには一年中服用されている方もいます。
ハウスダスト、とか、ダニ、などのアレルギーでは、お部屋の掃除の頻度にも影響を受けるので、通年性の症状のこともあります。
今年もすでに何人かお見かけしましたが、もうずっとながいことアレルギー薬、とくに抗ヒスタミン薬を服用されてる方です。
これをやめると、「肌が痒くなるのでやめられません」 ということです。
抗ヒスタミン薬とは?
抗ヒスタミン薬は、鼻炎、蕁麻疹、湿疹、アトピー性皮膚炎など、さまざまなアレルギー症状を抑えるために使用されるお薬です。
第二世代と呼ばれる新しいタイプの薬は眠気も少なく、長期にわたって服用している方も多くいらっしゃいます。
中止後に起こる「かゆみ」の正体
長期間、抗ヒスタミン薬を飲んでいた方が急に薬をやめると、かゆみがぶり返す。
この現象には、大きく2つの原因が考えられます。
1. アレルギー症状の「再燃」
抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を抑えるお薬であって、病気そのものを治すものではありません。
薬を中止すると、もともとのアレルギー症状が再び出てくることがあります。
これが「再燃」(さいねん)と呼ばれる現象です。
2. 長期間服用による「感受性の変化」
抗ヒスタミン薬を長期間使っていると、体内のヒスタミン受容体が薬の効果に慣れてしまい、薬を止めたとたんにヒスタミンに対する反応が一時的に過敏になることが知られています。
これをリバウンド現象と呼び、かゆみが悪化する原因になることがあります。
つまり、単なる「アレルギーのぶり返し」だけではなく、薬をやめたことによる体の反応もかゆみの原因になっているのです。
かゆいはつらいです。
かゆみを防ぐにはどうすれば?
では、どうすればこのつらい「かゆみ」を防げるのでしょうか?
● ゆっくり減らす
抗ヒスタミン薬は、急に止めるのではなく、少しずつ服用頻度を減らすことが大切です。
たとえば、毎日飲んでいたものを2日に1回、3日に1回と、間隔をあけながら減らす方法があります。
● 長時間作用型に切り替える
効果が長く続く長時間作用型の抗ヒスタミン薬に切り替え、徐々に体を慣らしていく方法もあります。
一日二回服用タイプなら、一回タイプに切り替えてみる。
● スキンケアを強化する
かゆみの悪化を防ぐため、保湿剤をしっかり使うことも重要です。
肌の乾燥もかゆみの原因となります。
ぽりぽりすると、肌があれ、乾燥に弱くなり、さらなるかゆみが生じます。
夜寝ているときに、無意識にぽりぽり、もあります。
朝と夜、お風呂上がりの保湿で夜も快適に過ごせます。
肌のバリア機能を整えることで、かゆみを感じにくくするということです。
● 必要なら専門的な治療を
かゆみが強く再燃した場合は、一時的に外用薬(ステロイド、免疫抑制剤)などを併用することも考えられます。
自己判断で我慢せず、ぜひご相談ください。
長く飲んでいた抗ヒスタミン薬を急にやめると、発熱したり頭痛、食欲低下、脱力感を感じることもあります。
筋肉痛や関節痛が出ることもあります。
離脱症状、と呼ぶこともあります。
長く、とは年単位です。
ヒスタミン、は悪さをするだけでなく、脳の中では覚醒作用や記憶力を高める作用もあります。
抗ヒスタミン薬で眠気を感じる、というのはこのヒスタミン作用をブロックするからです。
当院では、ダニやスギアレルギーでは、舌下免疫療法を行っており、抗ヒスタミン薬をなるべく使わず体質を変えていくことも強力な治療の選択肢として積極的におすすめしております。
急な中止によるかゆみでつらい思いをしないためにも、医師と相談しながら、計画的に減量・中止することがとても大切です。
ゆっくり、徐々に減らしていく、ということですね。
それでも数日間、あるいは1−2週間ほどはかゆみを感じることもあります。
その際には外用のステロイドをぬって、かゆみをしのぐことも有効です。
お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献