夜は灯りを消して。
心臓や血管の健康を守る上で、意外と見落とされがちな新しいリスク因子についてです。
それは、私たちの生活に欠かせない【光り】です。
夜間光~ Light at Night, LAN ~
明るい陽の光を浴びると気持ちが良いです。
夜も電気をつけて生活しますね。
私たちの生活空間は夜でも明るいままになっています。
夜間に人工光を夜間光 LANと呼びます。
街灯、看板、室内照明、スマートフォンやパソコンのスクリーンなど。
身の回りのあらゆる光がこれに含まれます。
実は、地球上の83%の人が何らかの夜間光にさらされて生活していると言われており
現代社会では避けるのが難しい環境要因となっています。
夜間光と心血管代謝疾患の関係
PROSPERO研究では、夜間光と心血管代謝疾患との関連が初めて総合的に解析されました。
この研究では、コホート研究5件、横断研究9件の合計14件(対象人数:数十万人規模)を対象に解析が行われ、次のような結果が得られました。
どんな病気にどれくらい影響があるのか?
研究の結果、夜間光の曝露がある人は、ない人に比べて心血管代謝疾患のリスクが→
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総合的に21%高くなる
(リスク比 1.21)
具体的な疾患別では:
疾患 | リスク増加率 |
---|---|
高血圧(Hypertension) | 17%増加 |
糖尿病(Type 2 Diabetes) | 24%増加 |
肥満(Obesity) | 19%増加 |
また、夜間光曝露とインスリン抵抗性の悪化
Diabetes 2022;71(8):1636–1648
インスリン感受性の低下
doi:10.1152/ajpregu.00168.2020
との関連も指摘されています。
つまり 夜中に光を浴び続けると糖尿病になりやすい、悪化しやすい ということです。
特に眠るときの光、などですね。
影響のメカニズムは?
この影響の背景には、体内時計(サーカディアンリズム)の乱れが深く関わっています。
夜間に光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されます。
結果として
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睡眠の質が低下
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血圧の上昇
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血糖値コントロールの悪化
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食欲ホルモンの乱れ(グレリン・レプチンバランスの破綻)
これらが積み重なり、高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病に繋がっていくと考えられています。
電気をつけっぱなしで寝ると、翌朝だるかったりします。
熟睡できていない、ということです。
すぐにできる夜間光対策
このようなリスクを防ぐために、私たちが今日からできる工夫があります。
簡単なことです。
✔️ 寝室の環境を見直す
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完全遮光カーテンを使用して外の光を遮る
遮光カーテンは厚手ですが、眠りを守ってくれる頑丈さです。 -
電気を消して真っ暗な環境で眠る
めざまし時計、充電器のLED、微弱な光も睡眠に影響があるということです。 -
アイマスクの利用
ここまですれば、もう楽しい夢が待ってます。 - 軽いストレッチ。あるいは軽い深呼吸だけでも落ち着きます。
副交感神経優位状態になるには、呼吸だけでも切り替われます。
✔️ 夜のスクリーン使用を控える
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就寝の1〜2時間前にはスマートフォンやタブレットの使用を控える
もう、今日の分は十分見たな、と思う気持ちも大事です。 -
ナイトモードやブルーライトカット機能を活用する
気休めだし、という方もいますが、夜は気を休める時間です。
✔️ 照明の工夫
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間接照明や暖色系の優しい光に切り替える
オレンジや赤みのあるライトは気持ちのザラザラも落ち着きますね。 -
夜間はできるだけ暗めの環境で過ごす
スマホの充電は別の部屋で、という事ができるとびっくりするくらい眠れることもあります。
夜は灯りを消して
夜間光を減らすことは、単に睡眠の質を高めるだけでなく、血圧管理、血糖コントロール、肥満予防など、私たちの心臓・血管の健康に大きな影響を与えます。
薬がすべて、ではないです。
ほんの少しだけ丁寧に過ごすようにするだけでもいいことがあるかもしれません。
一言で言えば、夜は真っ暗にして寝ますよ、ということですね。
朝起きたら、カーテンを開けて、陽の光を浴びるて気持ちよく目覚めたいものです。