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MASLD/ NAFLD/ 脂肪肝の治療について

[2024.11.13]

私は普段、いろいろな論文を読んでいます。

中でも、実際自分のところに来られた患者さんの診療で、これはまとめておこうということをこのブログに書いています。

 

その際に気にしていただきたい考え方について説明いたします。

若い先生には特にこういった話をするのですが、ブログを見ていただいている方にも役に立つ考え方なのであえてのご紹介です。

 

前提にはつねに疑問があります。

それは

1.どんな患者さんにおいて

2.どんなことをすると、あるいはどんなことをしないと

3.しないことに比べて、少しだけすることに比べて、徹底的にすることに比べて

4.いいことがあるのか?悪いことがあるのか?

というひとつづきの考え方です。

 

例えば、前回の脂肪肝、NAFLD、MASLDでいえば

1.太っていないMASLDの患者さんで

2.体重減量をすると

3.あまり痩せなかったときと比べて

4.脂肪肝はよくなるのか?

という疑問です。

 

変形パターンは、肥満のMASLD患者さんはどの程度痩せればいいのか?

あるいは、どの程度体重減量すれば効果が出るのか? 痩せても効果がないのか?

という問いにも繋がります。

 

以上を踏まえて、今回はMASLDの治療の話です。

 

Diabetes Metab J 2022;46:391-401

中国からの報告で、人種も地域も近いことから日本人でも適応できる内容と思います。

中華料理で脂肪肝になった方たちの話、と思うとイメージしやすいかもしれません。

 

この論文では、肥満ではない患者のNAFLDに対するライフスタイルの改善が、病状の悪化を防ぎ、健康を向上させるためにいかに重要かを強調しています。

 

特に、肥満でないのに肝臓に脂肪が蓄積する非肥満NAFLD は、

食生活習慣 や 運動不足 に起因しています。

 

検診で、脂肪肝と言われても無視されがちです。

でも放置すると肝硬変や心臓病などを引き起こす可能性がる、というのは前回のブログでお話したことです。

 

 

1. 食生活の改善 – 甘い飲み物と不規則な食事の見直し

砂糖や果糖は美味しいです。

その砂糖・果糖が多く含まれる清涼飲料水やお菓子が溢れており、人気があり売れます。

でも、これが肝臓の脂肪蓄積を引き起こす要因の一つとされています。

ペットボトル症候群では、糖尿病と脂肪肝と両方のリスクがあります。

この論文でも特に、清涼飲料水などに含まれる果糖が肝臓での脂肪合成を促進し、インスリン抵抗性を悪化させることが述べられています。

 

そのため、まずは砂糖の多い飲み物を減らし、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

 

水かお茶がいいな」です。

 

食事を日中の決まった時間帯に摂る「時間制限食」も、肝臓の代謝改善に効果的であるとされています。

量ではなく、食事の時刻に気を配るという作戦です。

 

夜遅くの食事を避け、できるだけ昼間の活動時間内に食事を摂ることが推奨されます​。

仕事や用事で遅い時間の食事になるようなら、スキマ時間に食事を摂る、というタイプの工夫も必要になってきます。

 

 

2. 運動の役割 – 有酸素運動と筋力トレーニングの活用

運動もまた、非肥満NAFLDに対する効果的な治療法の一つです。

論文では、

有酸素運動(ウォーキングやサイクリング)

筋力トレーニング(ウェイトリフティングや体幹強化エクササイズ)

両方

が肝臓への脂肪蓄積を減少させることが示されています。

 

特に、1週間に3回程度の運動(1回あたり45分)が推奨され、持続的な運動がインスリン抵抗性や肝臓の炎症を改善することが報告されています。

 

頑張りすぎず、リラックスしてやってみるのがいいです。

6割位の頑張り度でだいたい大丈夫です。

オリンピックの金メダルを取ろうというわけではないですからね。

 

これにより、肝臓の脂肪減少だけでなく、全身の代謝も整い、心血管の健康にもプラスの効果があります​。

 

 

3. 日常生活での実践 – 健康な習慣を身につける

まず自分の生活習慣がどのように健康に影響しているかを意識することが重要です。

具体的には、砂糖の多い飲み物や間食を控え、食事をバランスよく摂り、規則正しい生活リズムを保つことから始めるのがいいです。

三日坊主でいいのです。

まず始める事が大事です。

 

また、無理のない範囲で定期的な運動を取り入れることで、非肥満NAFLDの予防と改善が期待できます。

最初は小さな一歩でも、継続することで大きな変化につながります。

 

このような日々の努力が、長期的には肝臓の健康を守り、他の生活習慣病の予防にもつながります。

 

論文では、非肥満NADFLD(BMI 25未満)では体重が5% 減れば脂肪肝は良くなってくるよ!

 

ちなみに、肥満NAFLDでは体重7〜10%くらい減らさないと良くならないよ!

 

ということが示されています。

 

食事に関しては、当院では専属栄養士が 8−22時、平日も土日も食事指導を行っております。

高血圧、脂質代謝異常、糖尿病、慢性腎臓病、高度肥満などの方は保険診療の中で指導が受けられます。

本読んでも忘れますし、you tubeでみてもどれが正しいのかわかりにくいです。

 

自分の好きな食事、好きな味、嫌いな食材、好まない料理は人それぞれです。

まずは、専属栄養士さんにそこを理解してもらうことが重要です。

自分の好みを理解してもらってからのアドバイスこそ、役に立つと思っています。

 

運動に関して大事なのは、有酸素運動と、筋トレを併用することです。

 

薬物治療に関して

この脂肪肝、MASLDに対して確立した薬物治療、というものはないのが現状です。

それでも、効果がありそうだよ、とか、期待できるかもよという論文や研究報告はあります。

 

羅列すると

ビタミンE

ピオグリタゾン(糖尿病薬)

SGLT2阻害薬(糖尿病 心不全 腎不全)

GLP−1受容体作動薬(糖尿病)

ACE阻害薬、ARB(高血圧)

ペマフィブラート(中性脂肪)

などです。

いずれも保険適応になく、脂肪肝だからこれらの薬剤を、とはなりません。

 

だからこそ、食事と運動管理が基本であり、重要です。

 

治療には時間がかかります。

長い時間かけて、肝臓に中性脂肪が蓄積していきます。

それを良くするには、やはり長い時間が必要ということと思います。

 

日々、何を食べ、どう動くか。

 

楽しく安心して生活していくことが大事です。

 

正しい知識を持つのもいいですし、全てお任せでよろしく、でもいいと思います。

 

戸頃循環器内科クリニックでは、心臓疾患、血管疾患のみならず、これらに悪影響する病気の予防・治療にしっかり取り組みます。

 

検診の結果をみて、不安に思って迷い、結果を先送り、スルーするより、一度ご相談下さい。

 

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