人間ドックで「ABI・CAVIで異常」と言われました。
心臓足首血管指数 通称 CAVI きゃび。
足関節上腕血圧比 ABI えーびーあい。
これらは、動脈硬化症の血管機能検査になります。
俗に言う、血管年齢検査、としてCAVIや PWVという検査になります。
PWVは、血圧の影響が大きく出るため、信頼性の問題から当院では採用しておりません。
CAVI検査は動脈硬化度を、測定時の血圧の影響をほぼ受けず評価できます。
高血圧
糖尿病
脂質代謝異常
メタボリックシンドローム
虚血性心疾患
慢性腎障害
脳血管障害
などの方ではCAVI高値になります。
ABI検査は、閉塞性動脈硬化症の診断に用います。
足の血管が詰まっているかどうか、がわかります。
ABI 0.9以下では、下肢動脈に50%以上の狭窄(血管のつまり)がある可能性は
感度 95%
特異度 100%
です。
The Measurement of Atherosclerotic Peripheral Arterial Disease in Epidemiological Surveys
人間ドックでABI 0.9以下であることを初めて言われたという状況は、特に症状がない、という状況を予想します。
ABI 0.9以下の方は、そうでない人と比べて
全死亡率 約3倍
心臓血管死亡率 2.4倍
というデータがあります。
A systematic review for the screening for peripheral arterial disease in asymptomatic patients
さらに。
ABIで異常があったかたにスタチン(コレステロール低下薬)に投与すると、投与しなかった場合に比べて
全死亡も心臓血管死亡も抑制されたという報告があります。
Statins for Prevention of Cardiovascular Events in a Low-Risk Population With Low Ankle Brachial Index
もっと直接的には。
65歳以上の男性にABI検診を行うことが死亡率を低下させるか?という研究もあります。
検診5年後、スクリーニングを受けた群で、死亡率が7%低下した、ということです。
Population screening and intervention for vascular disease in Danish men (VIVA): a randomised controlled trial
当然、検査の結果を受けて、適切に対処するということが重要です。
統計的に計算すれば
65歳以上の男性を169人検査をすれば、一人の命が救えるということです。
さらにここに、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
HbA1c(糖尿病の指標)
血圧
下肢動脈エコー
造影CT検査
などの情報を合わせて、動脈硬化のリスクや血管の状態、心臓の状態などの評価と治療を合わせれば、もっとたくさんの方が、よりよい結果が得られる可能性が高まると思います。
論文はあくまで研究でしかありません。
これを踏まえて、目の前にいる相手にどれだけ有意義な医療を提供出るかということです。
戸頃循環器内科クリニックでは、検診やドックをやりっぱなしでおいておくことより、
せっかく受けた検査結果から得られる価値を最大限高めて活かしたいと思っています。
いつでもお待ちしております。