検診で「上室性期外収縮」と言われました。
前回は、心室性期外収縮のお話でした。
今回は、上室性期外収縮についてです。
心臓には4つの部屋、左右それぞれに心房と心室があります。
それぞれ右心房、右心室。左心房、左心室。
うしんぼう さしんぼう、ですね。
心室性期外収縮は、文字通り右心室なり左心室の壁から出てくる不整脈です。
上室性、とはこの心室より上の方、心房側の方の星マークから出てくる不整脈になります。
脈が飛ぶ、という表現で自覚される不整脈になります。
まず、1つ目の知識として。
健常人で9割以上の人に上室性期外収縮を認めます。
誰にでもある、といえます。
心臓は一日で10万回 動きます。
そのうち、上室性期外収縮が 100回 程度までは普通です。
2つ目の知識として。
一日で、100回以上の上室性期外収縮がある場合には、心房細動の新規発症リスクとなります。
特に血圧が高い、年齢が高い、甲状腺機能異常がある、睡眠時間が短い、ストレス生活をしている、喫煙者、コーヒー多飲、アルコール摂取量が多い、などがある場合には、特に注意が必要となります。
検診で、上室性期外収縮があったからと言って、すぐに異常で問題であるわけではありません。
リスクが有る人での、上室性期外収縮はまずいことがある、ということです。
ただし、脳梗塞の既往がある方では、とても重要な意味を持つことがあります。
脳梗塞をしたことがあり、かつ、上室性期外収縮がある場合の話です。
検診などの、安静時心電図で上室性期外収縮があった場合では、
24時間ホルター心電図で発作性心房細動が発見される可能性が高いです。
特に上室性期外収縮が一日で、1000回以上ある場合には、40%の確率で新規心房細動が見つかります。
Atrial Premature Beats Predict Atrial Fibrillation in Cryptogenic Stroke: Results From the EMBRACE Trial
残りの60%は、心房細動がない、のではなく、その日の検査では見つからなかっただけという可能性を常に考えます。
いずれにせよ、検診で上室性期外収縮が見つかったら
1.どきどき、脈が飛ぶのが、乱れるのが気になるか?
2.血圧、血糖値、コレステロールなども異常を言われてないか
3. 喫煙してます?
(昨日から禁煙しているから、は喫煙者扱いになります。)
4.ご家族の中で心臓病や高血圧の方はいるか?
5.脳梗塞になったことがあるか?
ということを考えます。
戸頃循環器内科クリニックでは、検診で言われた異常について
何が問題で、どうすれば良く、どう解決するか。
追加の必要な情報や検査はなにか。
治療する必要があるのか。
あるいは、心配する必要がないのか。
その理由はなぜか?
ということをしっかりご説明いたします。
必要に応じてしっかり治療を開始継続いたします。
あるいは、他施設の専門医に治療をお願いすることもあります。
ときには、病気はあるが、治療は今は受けたくない。
薬はできれば飲みたくない。
けれども経過は見てほしい、というリクエストも理解し、定期的に診察を行っている方もいらっしゃいます。
そんなときには、どうにもならなくなりそうな手前で、もう無理そう宣言するので、その頃にもう一度、方針を話し合いますよと念を押すこともあるかもしれません。
心配なときにはご相談いただければ、しっかり拝見させていただきます。