咳が止まらないときに読む話
咳が長引く理由とその対策について考えます。
2025年の正月はインフルエンザ感染症との戦いでした。
A型はすっかり減りました。
ここ数日はB型が散見されています。
当院では、風邪を引いたあとや、インフル後、あるいはコロナ感染後に咳が止まらないという方がほぼ毎日来院されています。
そのため、越谷地域では咳で困っている方が多いと考え書き留めておきます。
咳は風邪をひいたときやアレルギー反応などでよく見られる症状です。
長引く咳にはいくつかの原因があります。
ここでは、咳の持続期間に応じた代表的な病気とその対応方法を解説します。
1. 咳が続く期間で病気を判断する
咳が続く期間を目安に、病気を分類することが必要です。
- 急性咳嗽(急性の咳):咳が3週間未満続く場合。
風邪やインフルエンザ、COVID-19が原因であることが多いです。
流行の状態を考え、インフルエンザ、COVIDではない、と確認します。
咳、喉が痛い、鼻汁がでる、の3つ(少なくとも2つ)が揃えば、かぜ症候群と考えます。
症状ピークを過ぎていたら対症療法となります。
でも、呼吸が辛い、とか倦怠感が強い、とか血圧や心拍数に異常がある、呼吸音異常があれば肺炎の可能性があります。
胸部レントゲンや必要に応じて 胸部CT検査となります。
胸部レントゲンでは、心臓の裏におこっている肺炎はわかりにくいのでCT検査で初めて肺炎が分かることもあります。 - 遷延性咳嗽(長引く咳):3~8週間続く場合。
風邪の後に咳が続くことがあります。
咳止めで対処する場合もあれば、吸入薬が必要になることもあります。
- 慢性咳嗽(慢性的な咳):8週間以上続く場合。
この場合には、胸部レントゲン検査が必須です。
レントゲンは正常だけれども、胸部CTで初めて原因がわかることもあります。
アレルギーや胃酸逆流(GERD)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などが関係していることがあります。
2. 咳が長引く原因とは?
咳が長引く理由はさまざまで、それぞれに適切な治療が必要です。
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急性咳嗽(3週間未満)の場合:
- 風邪やインフルエンザ、COVID-19などの感染症が原因です。
咳の他に、発熱や喉の痛みが伴うことがあります。 - 特に流行している時期には、COVID-19やインフルエンザをまず調べることが大切です。
- 風邪やインフルエンザ、COVID-19などの感染症が原因です。
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遷延性咳嗽(3~8週間)の場合:
- 風邪をひいた後に咳が長引くことがあります。
この場合、通常は症状が自然に回復しますが、症状がひどくなることもあり、注意を要する時期です。
- 風邪をひいた後に咳が長引くことがあります。
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慢性咳嗽(8週間以上)の場合:
- 咳喘息(咳が夜間や朝に増える)やGERD(胃酸逆流症)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が考えられます。
慢性咳嗽が続く場合は、特にこれらの疾患を調べることが重要です。
肺の腫瘍や、間質性肺炎、結核、非結核性抗酸菌症、アスペルギルス症などの可能性もあり、CTでの評価が必要となります。
- 咳喘息(咳が夜間や朝に増える)やGERD(胃酸逆流症)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が考えられます。
レントゲンで異常がないときに、咳の原因の可能性が多いのは
1.咳喘息
夜間早朝の咳。冷たい空気を吸うと咳き込み。毎年同じような時期に咳き込みが増える。
2.胃食道逆流症
胸焼け、食後に特に咳が出る。横になると咳が出る。
3.後鼻漏
はなづまり。鼻汁。鼻をかまないですすりがち。
4.COPD
愛煙家。タバコよく吸う。肺機能検査で評価します。
5.アトピー咳嗽
夜間早朝に咳き込む。喉のイガイガ感。喉が辛い。
6. ACE阻害薬服用中
血圧治療中。高齢者では必ずしも咳は悪ではなく、誤嚥性肺炎のリスクが低下することも期待できるため、この薬剤のために咳が出ていてもそのまま続けることもあり。
3. 咳を改善するための治療方法
咳が続いている場合、病気に応じた治療が必要です。
- 風邪やインフルエンザ:これらの場合は、対症療法(症状を和らげる治療)が行われます。
症状が軽ければ、休養と水分補給が大切です。
- 咳喘息やGERD:症状に応じて、吸入薬や胃酸を抑える薬が使われます。
- COPDやアトピー咳嗽:これらの病気は、呼吸器の症状が進行しないようにするための治療が必要です。
抗ヒスタミン薬や吸入薬を調整します。
4. 咳の治療薬の使い分け
咳を和らげるためにさまざまな薬が使われますが、適切に使い分けることが大切です。
鎮咳薬(咳を止める薬)
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- 非麻薬性の薬(デキストロメトルファンなど)は、咳を抑える効果があります。
先発品名はメジコンです。
- 麻薬性の薬(リン酸コデイン)は、強い効果がありますが、副作用があるため慎重に使用します。最近では流通が止まっているため、処方してもほとんど手に入りません。
また、便秘になったり眠気や吐き気の原因にもなるため、仕様には注意が必要です。
- 非麻薬性の薬(デキストロメトルファンなど)は、咳を抑える効果があります。
漢方薬では、麦門冬湯を使います。痰がない咳、で用います。
痰が多いときには清肺湯を用います。
去痰薬(痰を出しやすくする薬)
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- 痰がたくさん出る場合、アンブロキソールやカルボシステインといった薬が使われます。
アンブロキソール(先発品名 ムコソルバン);痰の切れ改善。痰は増える感覚になります。
カルボシステイン(先発品名 ムコダイン);痰自体の量が減る
ことが期待できる、という感じです。
- 痰がたくさん出る場合、アンブロキソールやカルボシステインといった薬が使われます。
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5. いつ病院を受診すべきか
咳が長引く場合や、咳に伴う症状(発熱、呼吸困難など)がひどくなる前に、早めに相談されることをお勧めします。
特に以下のような場合は、早めにご相談ください。
- 咳が3週間以上続く場合
- 喉の痛み、胸の痛み、息苦しさが伴う場合
- 発熱や寒気が続く場合
- 喘鳴(ゼーゼー音)や呼吸困難がある場合
- 不安なとき
適切な診察と治療で改善できる場合がほとんどです。
気になる症状があれば、まずは相談され、最適な検査・治療を受けられることをおすすめします。