検診で「血糖が高い」と言われました。
この状況で一番心配なのは、自分は糖尿病なのか? ということにつきます。
重要なのは、糖尿病の治療とは、糖尿病がない人と同じ状態を目指すこと、達成することであることです。
なので、それならそうと早く診断を下したり、現状では大きな問題、心配はなく、どう過ごしていけばいいのかをはっきりさせることも、安心につながります。
糖尿病と診断になるには、高血糖の慢性的な持続の証明 が必要です。
キーワードは2つ。
1.血糖値
文字通り、血管の中の糖分の濃度です。
空腹時、食べていなければ血糖は低いのです。
食べれば血糖は上がります。
上がった後は、また下がってきます。
注目点は、
空腹時血糖値。
普段の(随時)血糖値。
血糖が下がってくるまでの時間。
正常では、空腹時血糖は110 mg/dl未満。
随時血糖は200 mg/dl を超えない。
75g OGTT検査(75gのブドウ糖*砂糖を飲んで2時間後の血糖) 140 mg/dl未満。
2.HbA1c ヘモグロビン エーワンシー
あるいは そのまま エーワンシー
2,3ヶ月の血糖値の高値を反映した指標です。
今朝食事を取ったかどうか、などの短期間の血糖にはほとんど影響を受けません。
この2つのキーワードにより糖尿病、あるいは糖代謝異常の判定、診断基準を読めるようになります。
- 早朝空腹時血糖 126 mg/dl 以上
- 75g OGTT で 2時間値 200 mg/dl 以上
- 随時血糖値 200 mg/dl 以上
- HbA1c 6.5 %以上
- 空腹時早朝血糖値 110 mg/dl 未満
- 75g OGTT で 2時間値 140 mg/dl 未満
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糖尿病型
1〜4のいずれかが確認された場合
正常型
5と6 が確認できた場合
境界型
糖尿型でも正常型でもない場合。
グレイゾーン。
初回検査だけで糖尿病の診断になることはあるのか?ということが注目点です。
あります。
血糖値とHbA1cを同時に測定して、ともに糖尿病型である場合です。
また、血糖値が高値で、糖尿病の典型的な症状がある場合にも診断がつきます。
典型的な症状とは
口渇:喉がやたらに乾く 飲んでも飲んでも乾く。
多飲:飲んでも飲みなくなる。
多尿:飲む以上に出ているかもしれないくらい。
体重減少:そんなはずないのに痩せてくる。
HbA1C 6.2% あたりは正常型、境界型、糖尿病型が入り混じっています。
このあたりの状況をしっかり整理、判別することが、2次検診でのいちばん重要な役割とも言えます。
判別のための強力なツールこそが 75g OGTT 検査です。
OGTT検査を強く推奨するのは
空腹時血糖 110〜125 mg/dl
随時血糖 140 〜 199 mg/dl
HbA1c 6.0〜 6.5 mg
のときです。
OGTT検査が望ましいな、というのは
高血圧、脂質代謝異常、肥満などの動脈硬化リスクがあって
空腹時血糖 100〜 109 mg/dl
HbA1c 5.6 〜 5.9 %
ご家族に糖尿病や肥満の方がいる
ときです。
正常型でも OGTT 1時間 血糖値 180 mg/dl 以上ではその後糖尿病に移行する可能性が高く、境界型に準じて経過観察が必要になってきます。
検診でA1C で引っかかったときには、まずは自分が糖尿病なのか?
正常なのか?
境界なのか?
これを確認するのが非常に重要です。
なぜ後回し、先延ばしにしないほうが良いのか?
それは、この初期の段階からすでに動脈硬化が進行していくからです。
心筋梗塞は、初期の糖尿病、あるいは境界型、といわれる時期から発症が増えはじめることがわかっています。
しっかりと対策を行えば、発症リスクをしっかり低下させることも期待できます。
薬を飲むか飲まないか、は手段であり、目標ではありえません。
血糖管理・血圧管理・脂質管理・適正体重管理・禁煙などはすべて手段です。
食事管理や運動管理もです。
糖尿病の合併症や、動脈硬化の超速加速進行を食い止めるための手段です。
糖尿病がないのと同じような状態を達成する、ということですね。
検診、ドックを受けたなら、せっかく採血検査を受けたなら、その結果を最大限に活かしましょう。
糖尿病は心臓病と深いつながりがあり、心臓病を予防するために、治療するためには、糖尿病を早期に見つけて適切に治療を進めていくことがとても大切です。
戸頃循環器内科クリニックでは、心臓病を予防・治療するためにも、糖尿病の検査治療を行っております。
血糖値も、HbA1cも、採血検査当日に結果がわかります。
OGTT検査は、前日からの食事管理などいくつかの注意点があります。
ご心配の方はいつでもご相談ください。