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寒くなると血圧が上がる

[2025.09.24]

冬になると血圧が上がることは多いです。

「熱を逃がさない」ために交感神経を強めます。

 

少し難しく言うと

末梢血管を締める(収縮させる)=全身血管抵抗上昇  というシンプルな反応です。

 

うーさぶー ぶるぶる、というのは筋肉を収縮させて熱を作る反応ですが

その時には、血管はぎゅっとしまって、熱が逃げないようにもしています。

 

これにホルモン(RAAS・バソプレシン・エンドセリンなど)

体液・血液性状

運動量はへる(=寒いから外出たくない)

塩分/アルコール(=冬の鍋はうまい)

睡眠/ストレス変化(=寒くて寝付けない)

が上乗せになります。

睡眠の質が落ちると血圧は上がります。

 

冬は日中血圧が高くなります。

様々な研究データでは

「外気温が10℃下がると収縮期BPが≈5–6mmHgあがる」というと言われています。

冬は自宅で血圧を測るやる気も下がりぎみです。

 

血圧計のマンシェット、といいますが、うでにぐるぐるまくあアレです。

ひやって寒いと嫌ですよね。

夏はいいですが、本来は血圧が上がりやすい寒い朝にこそ穴測定が重要になります。

 

当院では、血圧計を選ぶときには、ヒヤッとしない血圧計を勧めています。

夏に血圧計を選ぶと、冷たいほうが気持ちよかったりしますからね。

 

血圧上昇メカニズムを詳しく考えると

  1. 交感神経上昇による末梢血管収縮

    皮膚温低下→温冷受容体→交感神経活性化→小動脈収縮→血管抵抗↑→血圧↑

    寒さはカテコールアミン分泌やレニンアンギオテンシン活性も高め、圧受容体のリセットを介して高めの血圧を維持しやすくします。

    このタイプでは、交感神経遮断薬やレニンアンギオテンシン阻害薬、などが血圧を下げるのに向いています。

  2. 体液変化(寒冷利尿・ナトリウム排泄変動)

    寒いと尿がよく出るようになりますが、血管は収縮方向になります。

  3. 血液性状・内皮機能

    寒冷下では内皮NOの利用低下/機能低下が言われています。

    血管のしなやかさがへりがち、ということです。

  4. モーニングサージ

    冬は起床後サージ、つまり日内変動リズムでの血圧上昇が強く、脳卒中などが起こりやすい原因にもなっています。

  5. 行動・環境要因

    運動量はへり、、塩分/飲酒は増え、血圧は上がっていきがちです。

  6. 屋外寒冷曝露や入浴時の温度差もトリガー

    家の中でも暖かい部屋から、寒い部屋への移動で血圧は変動したりします。


どのくらい上がるか

大規模研究だと、外気温10℃低下でSBP ≈+5.7mmHg  というデータがあります。

でもいろんな患者さんの血圧手帳を見てきた感覚だと10-15mmHg くらい上る感じです。

むしろ夏あたりで、それくらい下がる、という言うメージも持っています。

(これは完全に個人の主観です)

血圧に関して、 夏下がるタイプは、冬上がるタイプ、と思っています。

 

冬はどうしましょうか

家庭血圧測定は、秋からが重要性が増します。

測定習慣がない方では、突然冬になってから測り始めるより、今ぐらいからしっかり測り始めるのが良いです。


ヒートショック は暑さ、より寒さ、の問題。

住環境は18℃以上を目安(英NHS勧告)。

脱衣所・浴室のヒートショック対策です。

外出時の重ね着を徹底するのも良いです。

過去一番暑かった夏の終わり、秋の始まりに寒さ対策の話をしてもピンとこないと思いますが。


冬でも有酸素運動を途切れさせない

塩分/飲酒控えめ

睡眠大事。

過度な寒冷曝露下での急激な重労働は避ける。
(しなくていいなら)

冬に血圧が上がり、下げる必要があるときには、上記のようなことを考えつつ、なぜ上がってきたのかを推測し、おくすりで調整したり、環境や服装などを考えるのが、冬の血圧治療では重要という話でした。

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