検診で「甲状腺が腫れている」と言われました。
健康診断での項目には甲状腺腫大の有無という欄があります。
こうじょうせん??
それは一体何ですか?といわれます。
甲状腺は、喉にある、体を元気にするホルモンを分泌する臓器です。
検診では、喉を見て、あるいは触ってみて、甲状腺が大きいかどうか、を確認したりします。
でも、不思議なことに、これくらい大きかったら、腫大、というラインが曖昧です。
検診の先生が大きいと思えば大きいことになります。
そうでもないな、と思ったらそうでもないことになります。
もし。
もしも甲状腺が大きいと言われたときに確認することがあります。
症状があるかどうか? です。
ドキドキするか。
胸の鼓動を感じるか。
動いたときに息切れするようになっているか。
ダイエットしているわけでもないのに体重が急に減ってきていないか。
逆に増えてきていないか。
やたら便通が良くなった。
最近便秘がすごい。
食欲が増えた、へった。
暑がりになった。
冬でもTシャツ。
あるいはいくら暖房しても寒い。
ホルモンを分泌する甲状腺では、その機能の異常では、
ホルモンが増えすぎ。
ホルモンが減りすぎ。
どちらかのパターンかで、症状が出てきます。
上記の症状はそのどちらかで出てくるものです。
さらに。
ご家族のなかに甲状腺の病気をしている方がいるかどうかも大事です。
異常がある、と言われたら確認する検査は2つ。
ひとつは血液検査です。
ホルモン濃度測定で、TSH, FT4の測定が重要になります。
甲状腺からのT4ホルモンだけでなく、視床下部からのTSHホルモンを合わせて測定するということです。
超音波(エコー)検査も大事です。
腫瘍があるのか、嚢胞(水風船)タイプなのか。など細かく評価が必要になります。
こういう検査は誰にでも必要なのか?
病気を見つけるために、特に症状もないけどやったほうがいいのかな?
という疑問も出てきます。
無症状成人へのスクリーニング目的のエコー検査は推奨されない
過剰診断と過剰治療を避ける観点から、リスク因子のない一般成人には推奨されません。
ですので、誰に検査を行うか、というは非常に重要なことになります。
機械があるから手当たり次第に、とか、病気があったら何でも治療を、という時代ではありません。
メリット・デメリットだけでなく、必要性もしっかり考えて検査を行う行わない、という感覚が大切です。
でも以下の場合にはエコー検査は重要な役割を持っています。
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甲状腺腫瘤の自覚症状や触知がある場合
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家族歴や被ばく歴のある高リスク群
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他の画像検査で偶然発見された甲状腺結節の評価
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経過観察中の結節サイズ変化の確認
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患者がFNA(細胞診)の対象か判断する際
必要であるということ見抜くことは、今は必要ではない、と判断するのと同じ価値があるように思えます。
検診結果の相談をお聞きするときにはそんなことを考えています。