いびき について。
「うるさい」の裏に、「あぶない」が隠れているかも、という話です。
いびきは一見、睡眠中の“クセ”のように思われがちです。
実は心臓や血管にも深く関わる、重要なサインのことがあります。
いびきは“体のSOS”
いびきは、「空気の通り道=上気道」が睡眠中に狭くなり、空気が無理に通ろうとして振動を起こすことで生じます。
問題は、その背後に「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が潜んでいることがあるという点です。
特に、
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睡眠中に呼吸が止まる(同居家族に言われる)
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朝起きて頭痛がある
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昼間の強い眠気や集中力低下
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夜中に何度も目が覚める
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高血圧、糖尿病、肥満がある
こういった症状があれば、いびきは病的なものと考えた方がよいでしょう。
一人で寝ていると、いびきについて言われることはないかもしれません。
人知れず、寝ている間に呼吸が止まっていることもありえます。
なぜ気づかれにくいのか?
いびきや無呼吸は本人が自覚しにくいため、見過ごされやすいのが特徴です。
寝てますからね。
特に一人暮らしや、家族が気づかない場合、「長年こうだから」と放置されがちです。
しかし、放っておくと
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高血圧や不整脈の悪化
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心筋梗塞・脳卒中のリスク上昇
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日中の眠気による事故リスク
など、命に関わる病気の引き金になることもあります。
血圧の薬を3つ以上服用しないと下がりにくいときには、睡眠時無呼吸症候群かも? と考えた方が良いです。
当院での診断:まずは自宅で簡単検査
当院では、睡眠時無呼吸の簡易検査(在宅検査)を行っています。
これは、自宅で機器を装着して眠るだけで、睡眠中の呼吸状態や酸素濃度をチェックできる検査です。
病気がありそう、となれば精密検査です。
PSG検査を行います。
1泊2日で検査入院することがありますが、当院ではすべて自宅で簡単に検査ができます。
入院代は当然不要です。
治療方法:生活習慣の見直しからCPAP療法まで
原因や重症度によって治療はさまざまです。
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軽症の場合
→ 減量・禁酒・睡眠姿勢の改善(横向きで寝る)などの生活指導
→マウスピース -
中等症〜重症の場合
→ CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法):寝ている間に空気を送り、気道を開かせて無呼吸を防ぐ治療です。
このCPAPは、心不全・高血圧・不整脈の悪化予防にも効果的とされており、当院でも多くの方が導入しています。
CPAP治療を開始してから、降圧剤が不要になっていく、ということも期待できます。
いびきを「放置しない」。それが未来の健康を守ります。
いびきがあること自体は、恥ずかしいことでも、珍しいことでもありません。
しかし、「病気が隠れているかもしれない」と知っているかどうかで、将来の健康が大きく変わります。
「最近、いびきが気になる」
「眠っても疲れが取れない」
「朝から眠い」
「なんかずっとぼっとしてる」
「血圧の薬、なんでこんなに飲まないといけないの??」
そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。
戸頃循環器内科クリニックでは、睡眠時無呼吸の診断と治療にも力を入れています。
循環器の専門的な視点から、全身の健康維持をサポートします。