風邪が増えています。
もうこの時期には気温も0度近くまで下がるにようになってきました。
戸頃循環器内科クリニックでは、発熱外来を行っておりますが、来院される方も12月になりかなり増えてきました。
発熱外来では、患者さんのお話を伺うと、
「熱が出て辛いです」
というかたや
「風邪ひきました」
というかもいらっしゃいます。
「熱っぽいので体温を計ったら39度あるけど元気」
という方もいらっしゃいました。
そこで今一度、風邪とはなんだ、という話をしてみようと思います。
一般的には風邪とは、自然によくなるウイルス感染による上気道感染症のこと、といえます。
上気道というのは、鼻から喉までのこと言います。
でも診療を行っていると、さらに喉から気管支までの範囲で想定していることが多いです。
下気道、と考えるのは、肺、と想定したほうが診断や治療の理解がしやすくなります。
ウイルス性腸炎を「お腹の風邪」と例えることもありますが、厳密にはお腹は風邪を引きません。
気道ではないからですね。
ウイルス性髄膜炎(コックサッキーやエンテロウイルスによるもの)でも自然に良くなります。
「頭の風邪」と言いたいですが、同様に気道ではないので頭は風邪を引きません。
風邪はあくまで、はな、のど、気管辺りまでのウイルス感染症、ということです。
ウイルス?
風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あります。
クリニックや病院でも、何ウイルスで風邪になったのかをすべて特定することはできません。
ですので、重要なのは、症状から風邪である、と診断することです。
でも風邪といっても、いろんな症状がありますね。
咳、喉が痛い、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、熱、だるい、目やに、ガラガラ声、関節が痛い、筋肉が痛い、気持ち悪い、食欲がない、眠い。。。
逆に、いろんな症状がある、というのが風邪の特徴でもあるといえます。
すごく大雑把に考えると
鼻水;鼻、鼻腔の感染
喉が痛い;喉の感染
咳がある;気管、気管支、肺の感染
と考えると整理できます。
当然に例外が多数あります。
鼻水をかまずにすすり続けていると、喉に炎症が起こったり咳や痰の原因になったり。
(鼻水はかみましょう)
胃酸が逆流すると、朝方から席が出やすくなる、咳の副作用がある内服薬もあります。
通常、咳と鼻水と喉の痛みが同時期に同程度の辛さであれば風邪と考えて差し支えはないです。
注意するのは喉の痛みです。
風邪で喉が痛いときには、飲み込むときに痛い、が特徴です。
唾液や食べ物を飲み込むのが辛い、ということです。
「咳をしたときに喉が痛い」は、喉の感染より咳が強いパターンが多いです。
喉の炎症の腫れ具合を確認して判定しますが、飲み込むとき、というのが風邪では圧倒的に多いです。
痰も由来が2つあります。
気管支や肺から上がってくるのは肺炎を考える必要があります。
でも鼻水はないけど痰は出る、というとき、実は鼻水が鼻の奥を落ちて行って喉からでて来ていることがあります。
後鼻漏、といいますが、鼻水が無いのではなく、痰として口から出ているということです。
「飲み込みたくなる感じで喉に引っかかる痰」
「痰が絡む」
というときには鼻水が出てきていると考えます。
診断がつけば、ご希望に応じてそれぞれの症状を楽にするお薬をお出しし、しっかり眠って早く良くなるように願います。
熱が収まって、鼻水や喉の痛みが収まっても咳だけが1−2週間残ることはよくありますね。
生活上、咳が問題となっているときには咳止めが必要になることもあります。
注意が必要なのは、ウイルス感染が収まったあと1〜2週間後に細菌感染が起こったときです。
「風邪がぶり返した」
総表現する方もいますが、成り立ちが違うので、次は血液検査やレントゲン、場合によってはCTスキャンなどが必要になることがあります。
当院でも他院で風邪の診断により風邪薬をもらって一旦良くなったがぶり返した、ということで受診され、調べてみると肺炎を合併しており、抗生剤の連日点滴ですっかり良くなった方もいらっしゃいました。
風邪なんか、といえども人によってこの体調不良によるダメージは様々です。
声を出す仕事をしている方の喉の不調は、大変に重要重大な症状です。
できる限りしっかりとかつ早期に症状を改善していくことが求められます。
戸頃循環器内科クリニックでは、発熱外来を通してこの感染症でお困りの方の力になるべく地域の方の生活を支えられるよう、これからも体制づくりを行ってまいります。
大事なのは予防です。
1. 手洗い・うがいの徹底
外出先から帰宅した際や食事前後には、石けんを使った手洗いを徹底です。
また、うがいも効果的で、緑茶に含まれるカテキンには殺菌作用があるとされています。
2. 適切な温度・湿度の維持
室内の湿度が低下すると、ウイルスが活発になりやすくなります。
加湿器を使用して、湿度を50~70%に保つことが推奨されます。
また、室温は22~25°Cを目安です。
3. バランスの良い食事と十分な休養
免疫力を高めるためには、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠が不可欠です。
特に、ビタミンCやビタミンD、亜鉛を多く含む食品が良いと言われています。
例えば、柑橘類やブロッコリー、ナッツ、魚類、豆類などです。
4. 適度な運動
定期的な運動は、血行を促進し、免疫力を向上させます。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で日常生活に取り入れると楽しいです。
5. マスクの着用と人混みを避ける
外出時にはマスクを着用し、特に人混みや密閉空間を避けることが重要です。
コロナ含め、インフルやその他も含め、感染予防の基本です。