動脈硬化についての小話
DOI: 10.1016/j.eswa.2015.10.016 より引用
循環器内科医を筆頭に、動脈硬化管理や治療を行っている医師やメディカルスタッフなら百万回は目にしている動脈硬化の進行についてのイラストです。
左側、きれいな血管が、徐々にプラークが増えてきて、血液が流れるスペースが減っていきます。
右側、狭窄、と表現される頃には、プラークが蓄積している量は増え、そのうち内膜が破れてしまう。
これをプラークラプチャーとか、内膜破綻、とか呼びますが、この時期には血栓(血液の塊)ができてしまいます。
詰まってしまったり、血栓が血流に押し流されて更にその先に飛んでいったり。
動脈硬化の早期発見、とはこのイラストでいうなら左側でみつかること。
進行は真ん中あたりに進んでいくこと。
重症になると右側の血管のつまりまで進行しきってしまった状態です。
当院では、この動脈硬化リスクファクターのある方、つまり血圧、コレステロール、血糖などに不安がある方や実際病気になっている方に
必要に応じて保険診療の範囲内、もしくは心臓ドックで徹底的に、動脈硬化の状態評価を行っています。
プラークの本体は、LDL-コレステロールです。
血管の壁の中にこのLDLが侵入するのは、内皮障害、つまり血圧や高血糖、タバコの煙成分などが内膜を傷つけたせいでプラークができていくと言われています。
どの段階で見つけるのがいいか。
どういった対処があるのか。
ということが非常に重要です。
プラークは溶けない、消えない、ので早期、つまりイラストの左側で見つけておくのが吉。
スタチン、というコレステロール低下薬はこのプラークの進行を遅らせる・止める効果が期待できる薬剤です。
コレステロール低下薬ですので高コレステロール血症の方に用いられます。
でも、この薬、いつまで飲むの?
という疑問を感じたとき、今の動脈硬化の状態を把握するのは非常に重要です。
進行しきってから治療を始めるより、軽症の状態でプラークがあることがわかり、対策がしっかり立てられ、良い状態を維持するのがとても大事なこととも思っています。