心臓CTAについて
当院では、CT検査装置があります。
高性能で被ばくも少ない設定で作動しています。
それにより、動いている心臓をブレずにしっかり撮影することが可能です。
心臓CTAでは、造影剤を用いて、撮影を行います。
たとえば、心臓を栄養している血管は3本の冠動脈があります。
この画像では、右の血管、時計でいうところの9時のあたり、冠動脈に狭窄(せまいところ)があるのがわかります。
右冠動脈を抜き出し、観察してみると、きゅっと狭くなっています。
さらに解析を進めていきます。
狭くなっているとこには、CT画像では黒いどろ、のようなものがついて狭くなっているのがわかります。
造影剤を用いて撮影しているので、心臓の中や大動脈には造影剤が入っています。
より狭いところが見えますし、なぜ狭くなっているかがわかります。
さらに解析を進めます。
狭くなっているところには、プラークがあります。
かつ、狭いところの周りには、血管自体が拡大していることがわかります。
Positive remodeling ポジティブリモデリング と呼んでいます。
狭くなり始めた時に、反応性に血管自体が太くなる現象です。
それでもプラークが増え続けると、血流が不十分となり症状として初めて、初めて自覚します。
プラークは、比較的黒め、つまり柔らかく、できて時間がそれほど立っていないこともわかります。
柔らかくて、もろいだろう、と予測します。
血液が常時流れていますから、もろい血管の壁は崩れて血液の塊ができることも考えられます。
急性心筋梗塞の80%くらいはこのメカニズムで発症することがわかっています。
さらにプラークができているその先には枝分かれした血管があります。
側枝、と呼んでいますが、この枝は心臓の電気の流れに重要な部分をまかなっています。
この枝に血流が途絶えると、房室ブロックといって脈が極端に遅くなることもあり得ます。
つまりこの血管を分析すると、
プラークによって、血管がかなり狭くなっている。
そのプラーク自体がもろい。
できて間もないだろう。
詰まると、胸が痛いだけでなく、脈が遅くなったり血圧も下がったりする可能性があるだろう。
右冠動脈が栄養している心臓の下の部分の筋肉は、胃の神経と近いため、胃のむかむかや痛み、などとして自覚する可能性もあるだろう。
カテーテル治療で広げるにしても、少し長い範囲をカバーする必要があるだろう。
広げるときに柔らかいアブラは、血液に流れて飛んでいく可能性があるだろう。
広げるときに用いる金属カバー(ステント)を留置しますが、長いものが必要になりそうだ。
長いステントを置くと、金属により枝が押しつぶされる可能性があるだろう。
ステントをしっかり広げないと、柔らかいアブラが流れていくと壁から浮いてしまう可能性があるだろう。
かといって、広げすぎるとところてんのように、あぶらがめりめりと網目をくぐってしまい、血管内に飛び出してくるかもしれないだろう。(これをProtrusionといいます)
さらに、このプラークを治療しても、また、ほかのところに同じようなメカニズムでアブラ、つまりプラークができる可能性があります。
今後もしっかり動脈硬化管理をしていかないと、また広げる治療が必要になるだろう。
さらさら薬と抗動脈硬化薬、食事や運動管理が生涯継続して重要だろう。
そんなことがこのCT検査からわかります。
戸頃循環器内科クリニックでは、どう考えるか。
#1 まずは、動脈硬化進行のリスク;血圧 脂質 糖 をしっかり管理できるようにすること。
#2 すでに動脈硬化が進行しているとしたら、適切な評価をすることで、状態を明確にすること。
#3 現状から、動脈硬化を進ませる因子をしっかり手当てしていくこと。
#4 もし、もし、カテーテル治療が必要になった場合には、しっかり治療を行うこと。
#5 カテーテル治療は局所療法であるので、再発を予防するためにできることで手を尽くすこと。
#6 食事、運動管理をベースに内服薬、心臓・動脈硬化チェックを合わせて行っていくこと。
当院では、心臓ドックを積極的に行っております。
胸が痛い、から始めるプラーク治療も必要で大切です。
でも。
本当に重要なのは、早期にしっかり見つけ、手術が不要なうちに適切に対処することと考えています。
たくさんの心臓発作を起こしてきた方々をカテーテルで治療してきました。
だからこそ言えますが、必要なのは、そんな治療を受けなくともよいように先手を打つことであり、それがあなたのためになると心から考えています。
痛い目にあってから頑張る、より、痛い目に合わないようにしたい、という考えです。
戸頃循環器内科クリニックは、狭心症や心筋梗塞をはじめとした動脈硬化疾患で苦しむ人、悲しい思いをする人をなくすため、しっかり取り組んでいきます。
血圧が高い、コレステロールが高い、糖尿病がある、などの方は是非一度心臓ドックを受けていただければと存じます。
大切な方へのプレゼントといって、予約された方もいらっしゃいました。
そのお気持ちにしっかり応えていきたいです。