動脈硬化の検査を受ける意味。
動脈硬化は加齢で進んでいきます。
長生きをするほどに、血管も年を取るのです。
この動脈硬化は漢字の字面は、血管が硬くなる、という表現です。
実際に血管は、拡がったり縮んだりします。
拡張、とか、収縮、という機能です。
この機能が衰えていくのが動脈の特徴です。
もう一つの動脈硬化があります。
それは、下の図にあるような、血管の壁の中にあぶらが溜まる状態です。
プラークと呼ぶこのアブラノカタマリ が血液の流れを塞いでいきます。
壁の中に、コレステロールの中の特にLDLコレステロールが潜り込んでいきます。
動脈の壁は3層構造です。
内膜、中膜、外膜 です。
この内膜と中膜の間にLDLコレステロールが入り込み、たまります。
マクロファージや単球;つまりは掃除屋さんに掃除され、残骸として壁の中に積み上がったのがプラークです。
これは、基本的にそこにとどまります。
消えてなくなる、溶ける、という減少はほとんど、ありません。
Determinants of Coronary and Carotid Atherosclerosis in Finnish Patients with Clinically Suspected Coronary Artery Disease. A Quantitative Angiography and Ultrasound Study 2007
ただし。例外一つ。
内膜と中膜の間のアブラノカタマリ、がプラークですが、この内膜が破れることがあります。
文字通り、破ける、です。
内膜破綻 ないまくはたん と医学用語で呼びます。
あるいは、プラーク破綻。
英語でプラークラプチャー plaque rupture.
ですね。
血管の筒の中に血液が流れていますが、このプラークと血液が触れ合うのは異常事態です。
血液が固まって蓋をしようとします。
それが、血液の塊こと血栓です。
そんな破れることとかあるの?
もっともな疑問です
結構あります。
たいてい、血栓は小さいうちにコロコロ。。。
転がっていくのでしょうが、時にはズドン。
そのまま詰まることもあります。
動脈は血液を送り届けるパイプです。
その先の臓器、詰まって血液=エネルギーが来なくなった臓器ごとに
病気の名前をつけることにしています。
詰まった血管ではなく、その先のトラブルに見舞われた臓器の名前を使います。
血液が足りない状態を虚血と呼び、全く来なくなって臓器が壊れた状態を梗塞、こうそく、と呼びます。
脳梗塞
心筋梗塞。
そういった状況では、文字通り命がけの治療が必要になります。
先程の動脈硬化の進行の絵をもう一度。
プラークは徐々に増えていきます。
症状は血管が詰まるまで出てきません。
長生きをしていけば、自然の摂理にしたがい動脈硬化も進行するでしょう。
では、どの段階で見つかるのが良いと思いますか。
私自身は、なるべくこの図の左側。
軽度の動脈硬化の状態でわかれば、対処の仕様もあるだろうと考えます。
体内には無数の血管があります。
すでに、脳梗塞、心筋梗塞、あるいはその前の狭心症で治療を受けられた方も、残りの血管の管理が重要になります。
プラークがあるか、ないか。
動脈硬化の進行の度合いはどうか?
この2つがわかれば、日々の生活の中で、自分の選択の根拠になります。
どんな人が定期的にでも動脈硬化の検査をしたほうがいいのかは、たくさんの研究からわかっています。
糖尿病
高血圧
脂質代謝異常 コレステロールがたかい
喫煙者、禁煙成功者
飲酒多い
60歳以上
腹囲85cm以上の男性 90cm以上の女性
家族が心臓病
普段歩くことが少ない
座りっぱなし
生活リズムが不規則
完璧主義者でイライラしがち
肥満
いつでも睡眠不足
上記の一つでもあれば、動脈硬化の評価をする価値があります。
症状がない、は、動脈硬化がない、というわけでもないです。
血管年齢や、頸動脈エコーですぐに簡単に評価ができます。
プラークがあれば、あとはそれへの対処を適切に行い、また6ヶ月12ヶ月 経ってから再度評価をします。
進んでなければOK.
プラークが進んでいれば、増えていれば、前回検査時からの見直せるところをすべて再点検して調整です。
食事や運動を見直してみたり、必要に応じて処方薬も調整するかもしれません。
血圧やコレステロール、糖尿病の治療は、動脈硬化の病気の予防です。
戸頃循環器内科クリニックでは、治療を通して、予防もおこないます。
毎日、頸動脈エコーや心臓エコー、血管年齢などの動脈硬化の評価がすぐに可能です。
いつもでご相談ください。