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症状について

[2024.08.12]

最近患者さんとお話していて思ったことについてお話します。

症状があることと、病気について。

時々胸苦しさがあって、病院にかかりました。

その病院でいくつかの検査を受けてみたものの、異常はありませんでした。

異常なかったです、様子見てください、と言われたとのことです。

ということで私のところに来られた方がいました。

お話しているうえで気になることがいくつかあります。

症状はそのままでいいのか?

原因がわからないものの対処が必要なのでは?

受けた検査にも検知限界があり、想定された病気以外の可能性についてはどうか?

時間が経過するとまたちがった状態になることもあるので、その後またフォローが必要なのではないか?

困って病院へ行ったものの、結局困りごとは何も解決してないです。

何回かの診察の時に、ストレスなことがあった翌日に胸の症状が出る気がするという言葉から、前の病院では行っていなかった検査を行いました。

冠微小循環障害と冠攣縮性狭心症の合併であることがわかりました。

治療を行ったところ、症状で苦しむことがなくなりました。

診断がつかなくとも、その後もフォローしてお話を伺っていけば、いつか診断にたどり着けたものと思います。

検査異常なし=病気がない ということではない、という点が重要な話です。

少なくとも症状があれば対処やまた時間をおいて外来フォローというのは必要と思います。

もう一つ。

検診で心房細動という不整脈が見つかった方です。

全く症状がないものの、会社で病院にかかるよう言われたので受診されました。

お話を伺い、脳梗塞リスクがあることから抗凝固薬を開始するとともに本当に症状がないかの評価を行いました。

左心房が拡大していること、心内圧やBNPの上昇の程度、運動負荷での心拍数の反応を見ると、心臓への負担は間違いなくあり、心房細動が正常洞調律に回復すると状態が改善することが期待できました。

本人とご家族とで話し合い、根治治療を目指しアブレーションを行いました。

結果、治療は成功し心房細動は消失し正常洞調律を維持できるようになりました。

3ヶ月後の外来で患者さんがしみじみとお話されました。

それは、治療後に体がすごく楽になったということ。

今まで当たり前だと思っていただるさや、息切れ感。

階段を登って感じていた疲れは歳のせいと思っていたし、運動不足もあったから余計にそう思った。

だから病気の症状ではなくそれが普通なんだと思っていた。

治療後は違う。

症状がない、とは言ったがそれは自分が慣れていただけだということをいわれました。

運動しても疲れにくなったので、散歩するようになり、食事の勉強もして体重も減ってきた。

なんとなくタバコ吸うのは嫌になって吸わないほうが気持ちよく過ごせるようにもなった。

人生が変わったのを感じるとのことでした。

検診でたまたまに見つかった無症候性心房細動という初診時の診断は、振り返れば正確ではありませんでした。

つらいと思う自分もいれば、それに慣れてしまう自分もいる。

色んな方の様々な時期があり、それに応じて私達医療従事者も接する必要があります。

専門職としての視点を持ち続けることが大事だと思った話でした。

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