違和感とは。
病院で働いている時に感じていた違和感について。
総合病院では各診療科があります。
各科ではそれぞれの先生たちが頑張られていて沢山の患者さんがいらっしゃいました。
その中では、いろいろな病気を抱えられていて、複数の診療科にかかられていることもあるわけです。
心臓病として循環器内科、肺の病気もあるので呼吸器内科、少し腎臓が心配ということで腎臓内科、膝が痛くて整形外科、たまに胃がむかむかするので消化器内科、肌荒れがあり皮膚科などを同時にかかられるわけです。
文字通り一日がかりで外来受診となるわけですが、内服薬を見てみると大変なことが起こります。
単純に、薬がすごく多くなります。
診療ガイドラインというものがあり、この病気ではこういった管理をしよう、という指標や約束のようなものがあるのですが、これを各科の医師が遵守すると内服薬がとてつもなく増えていきます。
それぞれの科の医師は自分の仕事はやっていると言います。
でもどうなんだろうと思う瞬間があるのです。
患者さんがお年を召されていくと、いろんなトラブルも重なってくることがあり、そういった状態に陥りやすいのです。
いっそ、どの症状、治療が大事なのか順番を付けていき、順位が低いものはばっさり切っていくのも良いんじゃないかともやもや感じていました。
治療薬を足し算で考えるのはきっと間違いだろうということと、ガイドラインはその病気においては指標だけれど、複数の病気が絡んだときには指標にはなりにくい、と考えるようになりました。
特に高齢者では、どんな感じで生活ができているかをお聞きして、認知機能や社会的なサポートがうまく利用できているかどうかを把握することが重要です。
いろんな科にかかるよりある程度一本化していくようにすると、患者さんの生活がうまくいくことを多く経験しました。
だから自分は循環器内科でしたが、呼吸器疾患や糖尿病、腎臓管理、疼痛管理、皮膚科投薬、早期の認知症診断や治療なども多く経験できました。
高齢者で生活上の問題となってくるのは、慢性心不全、慢性閉塞性肺疾患(いわゆる肺気腫)、認知症、筋骨格系の慢性疼痛、孤独と経済的障害に思います。
病院で、循環器科で、週3回程度の外来で、数ヶ月おきでの診察では、この問題に向き合うのは困難であると考えるようになりました。
心臓の治療を受ければ幸せに暮らせるようになるほど、単純じゃないのは自明です。
ホームドクターという言葉には、そういった役割も求められていると思っています。
よく見かけたのは、早期の段階から特に日常の運動ができるようになった方はその後の経過もいいようです。
当クリニックでは、メディカルフィットネスルームを作りました。
リハビリ、ほど敷居は高くないです。
肩が凝ってつらいから湿布ください、という会話の中では、ただ湿布を貼るより、実際ストレッチの方法や簡単な肩こり予防体操でもやっていただくと、湿布なんていらない体になるだろうと思い、そんなお話をしてきました。
凝りを湿布でごまかすより、凝らない体になったほうがいいよね、という一つの解決策だろうと思ったのが、クリニック内に運動できる場所を作るきっかけの考えでした。
自分が仕事をしてきて感じた違和感を解決することが、きっと誰かのためになると思って準備を進めています。