眠りにいいこと
先日自分と同じくらいの年齢の方とお話をしていると、最近ぐっすり眠れない、と悩まれていました。
家事を終えて自分の時間になり、好きなことをして明かりを消して。でもなかなか寝付けないし、途中で起きてしまうこともある。困ったものですよということでした。
また、別な方ですが、夜横になると心臓の鼓動が気になって眠れないということで受診されました。
検査の結果、不整脈などの脈の乱れや心臓の異常によるものではありませんでした。
確かに寝付けないのも、ぐっすりできないのも辛い話です。
おやすみ三秒、という言葉もありすぐに寝付ける人もいる中では、まさに悪夢の状態、ということなのでしょう。
ストレスフルの社会では不眠に悩む方は稀ではなく、3人に1人は不眠傾向である、という報告や4人に3人は最適な睡眠時間と言われている7−8時間未満である、という報告もあります。
最初の方は、お話している最中にもチラリチラリとスマートフォンを気にされているようでした。急ぎの用事があるわけではないことは確認しましたが、もう本人も気づかないくらい癖になっているようでした。
そこで、夜はそのスマホ、はどうしているのか訪ねてみると、やはり眠くなるまでスマホをいじっている。
目覚まし時計はスマホなので、ついSNSやら明日の予定やらを確認して枕元に置いて寝ている。夜中目が覚めてしまったときもスマホをいじっている、と言われていました。
なので、私なら、というお話をさせていただきました。
ためしに1週間、寝室にスマホを持ち込まず、目覚ましは時計でセットして起きるようにしたほうがいい。
「今日も一日いい日だった」と思って電気を消してみると、ぐっすり眠れるようになるよ、と話しました。
1ヶ月してまたその方とお会いしたときには、もうぐっすり眠れるようになったことと、スマホ中毒だったということを言われていました。
気になるものがすぐそばにあったら、ぐっすり眠れないでしょう。
今回は、アドバイスがうまく行ったということです。
睡眠薬や安定剤、睡眠導入剤を処方する、ということもできますが、そういったものの力を借りずに眠れるようになったのなら、それが一番いいと思います。
また、横になると鼓動が気になる、と言われていた方にも薬ではなく、解決できました。
医師患者関係、といいますか、お互いが信頼できる関係まで構築できているだろう上で、以下の2点をご説明しました。
しっかりした精密検査でも異常がなかったこと。特に鼓動が強いと感じられた時間帯の検査でも異常は認めなかったこと。
鼓動が気になるのは左側を下にしたときに気になりやすいのです。これは心臓の解剖的要因によるのですが、次はしっかりご自身の心臓が動いていることを意識してください。心臓はあなたの脳や臓器たち、筋肉や皮膚の隅々に血液、栄養、酸素をしっかり運んでくれていること。
そうやって生命は維持されていること。病気ではなく、日中感じない鼓動を感じることで、不安になってしまっているだけであること。
それは正常のことでありがたいことだからしっかりその心臓の音を聞いていれば、そのうち眠くなりますよ、というお話をさせていただきました。
やはり1ヶ月後にお会いして、夜のあれこれはもうまったく気にならなりぐっすり眠れるようになったとのことでした。
不安になったときには、ついあれやこれや悪い予感が膨らみます。夜、ぽつん、の状態ならなおさらでしょう。
大丈夫だから、じゃ不安はなかなか消えない。
しっかり調べて、それを理解していただいて、さらにどう自分と向き合うか。
そこへのアドバイスが良かったのかもしれません。
全ての方に同じ話はしません。今回はそういった話が役に立った、相手の方がそういう話がうまく入った、ということなのでしょう。
じゃあ、おくすり処方しておきますね、じゃ安心できないです。
以上、ぐっすり眠りたい、という話でした。