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冠動脈の石灰化について

[2024.09.26]

今週、アメリカの心臓病に関する論文雑誌JACCから、冠動脈の石灰化についての総説が発表されました。

https://doi.org/10.1016/j.jacadv.2024.101287

アメリカの心臓病業界のなかで名だたる先生達が連名で出されたものです。

A proposal and call to action.

「提案と行動への呼びかけ」

というサブタイトルです。

当院のHPでも冠動脈石灰化について、というページを公開しております。

 

2024年11月号で最新の論文として、心臓CTで冠動脈の石灰化を評価しよう。

その結果に応じて、石灰化の程度により治療法を調整しよう! という提案の論文です。

 

この中では、臨床的な動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)がない方に対する予防治療の判断を支援するために、冠動脈カルシウム(CAC)スコアのステージングシステムを提案しています。
 
ステージングとは、石灰化の程度をわけて、異常なしから、石灰化が強い状態かどうか、をスコア、つまり点数でわけるということです。
 
石灰化が全くなければ 0点。
石灰化が増えるに従って点数も増えていく。
 
そういった考え方、分け方、ということです。
 
CACスコアはASCVDイベントの強力な予測因子であり、その重症度に応じたステージングによって、治療戦略をひとりひとりにそって調整しやすくします。
 
これは、がんや心不全の管理で使用されるステージングの考え方と同様です。
 

このシステムでは、CACスコアに基づいて患者を分類し、それぞれのリスクレベルに応じてスタチンやその他の治療法の使用を推奨しています。

 

例えば、CACスコアが0の場合は生活習慣の改善のみを推奨しています。

 

言い換えれば、スタチン、いわゆるコレステロール低下薬は用いずに、食事運動管理のみで十分である可能性もあるということになります。

 

また、スコアが高くなるにつれて、より集中的な薬物治療や予防策が必要とされます。

 

論文はまた、CAC検査が広く利用されていないことが治療の障壁となっており、これが健康格差を広げていると指摘し、保険制度や医療システムに対してCAC検査の利用促進を求めています。

 

     

 

CAC(冠動脈カルシウム)がゼロ、0点の場合、リスクは低い状態となります。

上記の写真でいうと最初の心臓です。

 

CARDIOVASCULAR DISEASE UNCOVERED – CORONARY CALCIUM SCANより抜粋

 

2019年のACC/AHA(アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会)の一次予防ガイドラインでは、糖尿病、若年での心疾患の家族歴、喫煙などの高リスク状態を除き、CAC 0点ではスタチン治療は必要ないとされています。

 

しかし、CAC 0点でも、健康的な生活習慣の改善が重要です。

 

動脈硬化性心疾患の危険因子である高血圧や糖尿病、肥満などの他の心血管リスク因子の管理が重要なことは言うまでもありません。

 

戸頃循環器内科クリニックでは、この冠動脈石灰化を心臓ドックのひとつのメニューとしておすすめしております。

 

頸動脈エコーや心臓エコー検査と合わせて、動脈硬化状態、心臓の状態を正しく把握することが可能です。

 

その結果により、今の治療で良いのか、今後の治療への効果判定などのお役に立てる事があると考えます。

 

ご心配の方は、ぜひご相談ください。

 

いつでもお待ちしております。

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