メニュー

高血圧について

高血圧の定義 いくつから高血圧なの?

高血圧や脂質代謝異常などの生活習慣病は症状がないのです。

血圧や血中コレステロールを測定しないと診断することができないです。

「上杉謙信の収縮期血圧は300mmHg以上あった!」などと推定されていますが、当時は血圧計もないのです。

当然実際どうだったかなどわかりません。

突然亡くなられたときの様子や当時の越後の食生活が食塩過剰摂取だったことを考えてのことだと思われます。

ヤルタ会談の2ヶ月後に別荘で静養中に「後頭部に激痛がする」といった米国ルーズベルト大統領は広範囲脳出血でこの世をさられましたが、その時の血圧は 300/190 mmHgだったのは有名なことでもあります。

現在のような水銀柱と聴診器を用いて血圧測定したのは1905年のロシアのコロトコフ先生がコロトコフ音、を発見したときです。

つまり、100年程度の血圧測定の歴史しかないのです。

高血圧がリスクになる、と特に問題になり始めたのは、1950年ごろから米国の保険会社が保険金設定のために大人数の血圧測定を行い、予後との関連性を検討してからと考えられています。

御存知の通り、血圧の測定は連続値なのです。 10回測定すれば、毎回少しづつ測定される血圧値は異なるのが普通です。

何かができている! とか、なにかが詰まっている! とかではなく、人為的に定義が決まっています。

時代によって血圧が高すぎる! というラインが変わってきています。

大昔 収縮期血圧= 年齢+90   でいいという表現がありました。今は通用しませんが、こんな事をいっている医師も実際にいました。

160/95 mmHgの時代から、さらに 140/90mmHg 以上に高血圧の定義が変更されていっています。

時代の変化により、生活習慣および降圧剤改善による血圧そのものの低下とそれによる対象疾患が変わっていきました。

血圧を測定する習慣がなかった時代には生活習慣もずさんで、食塩過多による血圧上昇が頻繁に起こっており、収縮期血圧  200mmHg以上の高血圧患者も珍しくなかったのです。

この時代には高血圧のみで起こる脳出血や高血圧緊急証、高血圧性腎不全などが予後として重要でした。なので比較的高い血圧ラインが高血圧の定義として採用されておりました。

しかしながら、血圧が測定できるようになり、降圧剤も色々開発および改良されてきている中では、高血圧で起こる病気だけではなく、他の生活習慣病との相互作用で病気が発症する動脈硬化性疾患(虚血性心疾患や脳梗塞、糖尿病性腎症)などが治療ターゲットとなるので、比較的低い血圧でもリスクとなります。

糖尿病があれば、そうでない人に比べて10mmHgくらい低いほうがより予後は良いのです。

したがって、高血圧の基準値そのものが下がってきています。

現在では、高血圧の診断基準は、将来病気にあるかどうかのリスクで決まってきます。

どの程度の血圧から死亡率や脳卒中、心血管病などの罹患リスクとして予後が悪化するのか?

この観点から 140/90 mmHg 以上が高血圧の定義となっております。

アメリカでは最近、 130/80mmHg 以上を高血圧、と診断基準を決めました。

当院では、後で述べますが、おおよその患者さんに家庭血圧 120台/70台を目指しましょう、と目標値をご説明しております。

ただし、人によっては130台、あるいは140台あたりが目標になることもあります。人それぞれにとっての目標というのは違ってくることもあります。

 

どれが本当の血圧値?

10回測定して毎回数字が違う。

どれが私の血圧なの? なんてお話を患者様からお聞きすることがあります。

考え方は以下の3つです。

  • 座位1−2分程度の安静が大事。
  • 朝と夕では血圧がばらついて当然。(別々に解釈するものである)
  • 1週間の平均で血圧を判断する。

どれが本当の血圧なの?という質問に対しては、どれも本当の血圧です、が実際の答えになります。

ただ、それでは何も解決していないのです。

いつ測定するか?

起床後1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前の測定 が非常に重要です。

晩(就眠前)に、座位1−2分の安静後に測定する。

1機会で原則2回測定し、その平均を血圧として用いる。1回のみの測定の場合には、その値を採用する。

一週間の測定値を平均して考慮する。平均値が高血圧の診断基準を満たせば、家庭血圧に基づく高血圧と診断になる。

血圧を3回測ってばらばらなら、座位1−2分の安静ができていない可能性が高いです。

「朝起きて忙しいんだから、そんな悠長に座ってられないよ!」 これは私が診察させていただいている患者様から頂いたお言葉です。非常によくわかります。

1回目測定が高く、2回目、3回目と下がっていくパターンは、安静の効果で下がっているので、1回目は除外して2,3回目を平均していただきます。

1回目測定より2回目、3回目が徐々に上がっていくパターンは、測定された数値に驚いたり心配したりして興奮されているのかもしれません。

学校のテストではありません。いい成績を取る必要もありません。ただ、血圧を測定しているだけです。

1週間分を平均して、治療の必要性や効果を判定するためのものです。

なので、見たままを血圧手帳なり心不全手帳なり、メモ帳に残せばいいだけです。数値に興奮してしまうタイプの方は、1回だけの測定でもいいのかもしれません。

大切なのは、血圧の数値に一喜一憂しないこと。

医学的には、血圧変動が大きいかたや、同じ時間帯でも測定値の変動が大きい方は、血管リモデリングによって、血管が固くなり、外気温や塩分摂取に対して十分な反応ができず、血圧変動が大きくなるからとも考えられます。

例えば朝に血圧が高く、夕方から夜にかけて血圧が下がる場合には、塩分貯留による夜間血圧が朝まで残って早朝高血圧現象のことがあります。この場合には、減塩管理を徹底して反応変化を確認してみたり、塩分利尿剤(サイアザイド系利尿剤)を用いて塩分排泄を行うと、朝と夕の血圧差が少なくなり、心臓や体への負担を減らすことができます。

あるいは、職場や家庭での思わぬことがストレスとなっていて血圧変動の原因となっていることもありますので、患者様とその可能性についてお話したりすることもあります。

全ては家庭血圧、つまりリラックスした状態で測定した数値こそが、治療の必要性やどう治療するか、またその治療自体の効果があるのかどうかを判定する根拠となります。

家庭血圧を正しく測定しましょう。

今まで院長は、多くのクリニックや医院さまから血圧の管理困難症例、つまりどうしても血圧が下がらない、なぜ下がらないのかわからない、どうにか治療してほしい、という依頼を多くいただき、多くの患者様で治療成功をしてきました。当院ではそれが引き続き可能です。

治療についてはまた後日追記いたします。

以前に監修したビデオをどうぞ。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME