インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが上気道に感染して引き起こされる病気です。
かぜ症候群(感冒)のウイルス感染に比べて、リスクのある患者さんでは重篤な合併症を来す可能性があり注意を要します。
予防接種をすることで、感染率や重症化率を下げることが出来ます。
新型コロナウイルスとの同時流行や同時感染もあり、厚生労働省からはワクチン接種が推奨されています。
定期の予防接種の対象となる方は以下の通りです。
1.65歳以上の方
2.60~64歳で心臓、腎臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
これらの方は、定期の予防接種として、1回のインフルエンザワクチン接種を受けることが可能です。
なお、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同日に接種することが可能です。
予防
- 流行前のワクチン接種
- 外出後の手洗い
- 適度な湿度の保持
- 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
- 人混みや繁華街への外出を控える
- 室内ではこまめに換気をする
(すべて新型コロナウイルス感染予防でも共通する注意点です。)
原因
飛沫感染が主たる感染経路です。
つまり、すでに発症している人のくしゃみ、咳などから、あるいは口元や鼻を触ってから手すりドアノブなどに触れることでウイルスの感染が広まっていくことがあります。
感染者数
例年日本では1千万人程度ほどの感染が報告されています。
インフルエンザの感染により1万人程度が亡くなられており、致死率は0.1%未満と推計されます。
2024年末からインフルエンザA型が例年に比較し、患者数が非常に増加しています。
症状
突然の発熱(39−39度の高熱)、のどの痛み、せき、関節痛、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの症状があります。
風邪と比較すると症状が重い事が多いです。
潜伏期間は1−4日です。
37度台の発熱、いわゆる微熱程度のこともありますので、高熱でなければインフルエンザではない、ということはありません。
高齢者や免疫抑制の方では、症状が軽微なことがあります。
検査
インフルエンザ流行中では、突然の発熱と症状(喉の痛みや、せき、筋肉痛関節痛など)で診断を行うことができます。
検査では、インフルエンザ迅速検査を行います。
新型コロナウイルス・インフルエンザウイルスの同時迅速検査を行うこともあります。
綿棒で鼻の奥の粘膜をこすって、感染チェックを行います。
10分程度で結果判定になります。
迅速検査は発症してから24−48時間の間に検査を行うと、正確性が増します。
この時間以外(発症から早すぎ、遅すぎ)になると検査感度が低下します。
重要なことは、検査感度がどの迅速キットでも概ね50−70%です。
そのため、インフルエンザ感染症であっても陰性、になることがあり注意を要します。
迅速検査の推奨される対象は
1.合併症リスクがある
2.新型コロナも流行している時期
3.本人の周囲に合併症リスクのあるかたがいる
この状況では迅速検査を特にお勧めします。
インフルエンザの合併症リスクとは?
65歳以上
妊娠中
介護施設の入居者
肥満症
慢性疾患(呼吸器疾患、心疾患、血液疾患、腎疾患、肝疾患)のあるかた
免疫抑制患者さん(ステロイド内服中、がん、化学療法中、HIV)
診断
問診などを行い、迅速結果の結果をもって診断となります。
インフルエンザ流行期に典型的な症状があれば、それで診断することも可能です。
シックコンタクトの有無も重要な手がかりです。
咳やくしゃみをしている人や、インフルエンザなどの感染症にかかっている人と2メートル以内で接すること、またはその接触があるかどうかは、診断に参考になります。
新型コロナ感染症が取り上げらた時期に、濃厚接触、という表現にちかい考え方です。
ウイルス感染初期には検査結果が正しくでないことがあります。
そのため、タイミングを変えて追加の検査が必要なこともあります。
症状が出てから半日以上経過しないと、正しく判定できないことがあるので注意が必要です。
治療法
抗インフルエンザウイルス薬の内服・吸入薬で治療を行います。
のどの痛みや関節痛、高熱がつらいときには、解熱鎮痛剤も併用します。
咳がつらいとには咳止めや、痰切り薬なども併用することもあります。
抗ウイルス薬は発症してから48時間以内に使用することで効果が上がります。
合併症リスクがないかたでの抗ウイルス薬は、症状の期間を半日から3日間程度短縮することができます。
合併症リスクがある場合には、重症化を予防する効果が期待できます。
基礎疾患がなく、全身状態が良好で食事摂取にも問題ないような状況では、抗ウイルス薬を用いないこともあります。
重症(肺炎合併、入院中)では、発症からの日数にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨されています。
合併症リスクがある場合には、発症48時間以降でも症状改善がない状況では、抗ウイルス薬での治療の対象となります。
学校保健安全法では、
解熱後2日を経過 かつ 発症後5日を経過 していれば登校が許可となっています。
職場では法律に基づく規定はありません。
会社ごとに規定がある場合もありますが、学校保健安全法に準じている会社が多いようです。
職場で周囲に感染するリスクも考えて判断されています。
治療薬についての説明(抗ウイルス薬)
タミフル(内服) 後発品名;オセルタミビル
一番代表的なインフルエンザ治療薬です。
当院では有効性と安全性、治療薬の値段のバランスがすぐれていると考え第一選択としております。
細胞の中で増殖したウイルスが拡散するのを防ぐ効果があります。
呼吸器疾患や高齢で、吸入薬などが使いにくい時にもよく治療に用いられます。
カプセルタイプとドライシロップタイプがあります。
タミフルは内服で吐き気を感じることがあります。
食事とともに内服すると吐き気は軽減することが多いです。
ドライシロップタイプは、水に溶かして飲みます。
カプセルが飲みにくい、小さいお子様に処方いたしますが、苦いです。
ヨーグルトやオレンジジュース、スポーツドリンクに混ぜると苦みは和らぎます。
乳酸菌飲料やリンゴジュースだと余計苦くなります。
混ぜたらすぐ飲みようにすると、苦みを感じずに服用できます。
リレンザ(吸入) 後発品はまだありません
粉末の吸入薬です。
ブリスターという吸入薬のはいったディスクを吸入器を用いて吸入します。
イナビルと同じく、乳蛋白が含まれているため、牛乳アレルギーがある方では注意が必要です。
ラピアクタ(点滴) 後発品はまだありません
点滴薬です。
カプセルが飲めない、吸入がうまくできない、というときに用います。
小児、高齢者、障害のあるかたなどで使います。
15分の点滴一回でしっかりした効果が得られます。
腎機能障害があるときにはかなり注意が必要です。
ゾフルーザ 後発品はまだありません
細胞の中で増殖したウイルスが拡散するのを防ぐタミフルと異なり、ウイルスの増殖そのものを防ぐ効果があります。
一回だけ服用すると、効果が持続しますので便利です。
値段が高い、比較的新しいため、副作用データの収集が少ない、という特徴があります。
イナビル 後発品はまだありません
粉末の吸入薬です。
成人、10歳以上では、40mg 容器2個
10歳未満では20mg容器1個
を一回だけ吸入します。
一回吸入すれば、5日間効果が続きます。
吸入薬はコツがあるので、うまく吸い込めないことがあります。
薬剤の添加物に乳タンパクが含まれているため、牛乳アレルギーがある方では注意が必要です。
上記治療薬に加えて
咳がひどい>咳止め薬
痰が絡む>痰が切れやすくなる薬
頭痛がつらい>鎮痛薬
など、困っている症状を少しでも改善する治療薬を用います。
インフルエンザ関連肺炎について
- インフルエンザウイルス肺炎(インフルエンザ単独での肺炎)
- ウイルス・細菌混合性肺炎(たんが膿状、CTでの特徴的な浸潤影、インフルエンザの経過中に細菌性肺炎を併発)
- 二次性細菌性肺炎(インフルエンザが軽快した数日後以降で肺炎を発症)
細菌性肺炎を合併したら抗生剤を併用することが非常に重要です。
特に合併症リスクや糖尿病がある方では重篤化する恐れがあるため、適切な診断が大切です。
予防投与について
タミフル、リレンザ、イナビルは予防投与が可能です。
「同居する家族がインフルエンザにかかった」
「インフルエンザにかかると重症化しやすい」
という条件があるときには、予防投与を行うことができます。
予防投与は全額自己負担です。
予防
うがい、手洗い、マスクの着用です。
厚生労働省にインフルエンザQandA が載っていますので参考にしていただければと存じます。
戸頃循環器内科クリニックでは、インフルエンザ予防接種 検査治療を行っています。
越谷、新越谷でインフルエンザ治療、【発熱外来】でお困りのときには
インフルエンザ予防接種
お値段 3,300円です。(任意接種)
電話での予防接種予約も可能です。
048-993-4155
当院では、発熱外来スペースがあり、通常外来とは入口は別になっています。
インフルエンザおよびお新型コロナウイルスの迅速検査が可能です。
診断、治療に合わせて抗ウイルス薬や解熱剤で治療が可能です。
また、必要に応じて、肺CT検査も当日予約なしで検査可能です。
肺炎や気管支炎の可能性がある場合、必要に応じて検査治療を行います。