2026年の心不全 第二話 MRAが「EFにかかわらず」重要な薬へ
心不全治療薬の一つにMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)があります。
代表的な薬には、
- スピロノラクトン
- エプレレノン
があります。
さらに近年では、非ステロイド型MRAであるフィネレノンも登場しています。
これまでMRAは、主に心臓の収縮力が低下したHFrEFの患者さんで強く推奨されてきました。
ところが2026年ESC心不全ガイドラインでは、大きく位置付けが変わりました。
「LVEFに関係なく」MRAを推奨
2026年ガイドラインでは、
症状のある心不全患者では、LVEFにかかわらずMRAを推奨する
とされました。
しかも推奨度はClass I、Level Aです。
つまり、心臓の収縮力が保たれたHFpEFでも、MRAが心不全治療の中心薬の一つになったということです。
HFpEFにも「きちんとした薬物治療」ができる時代に
以前のHFpEF治療では、
「むくんだら利尿薬」
「血圧を下げる」
「心房細動を治療する」
といった併存疾患への対応が中心でした。
対症療法、といってもいいです。
非常にもどかしく、心不全の専門の先生たちともこれまで多くディカッションをしてきましたがいい手がない、という時代を過ごしてきました。
現在は違います。
2026年ESCではHFpEFに対して、
SGLT2阻害薬+MRA
が基礎治療、すなわちFoundational Medical Therapyとして位置付けられています。
これは非常に大きな変化、進化です。
ただしMRAには注意点も
MRAは有用な薬ですが、
- 血清カリウム上昇
- 腎機能
- 血圧低下
には注意が必要です。
「心不全だから全員に同じ量を処方する」という薬でもありません。
腎機能やカリウム値 血圧の推移を確認しながら、患者さんごとに使い分ける必要があります。
特に心不全の患者さんは気温の変動から受ける変化も重要です。
血圧の変動、汗や水分のとり方、季節ごとの塩分摂取量の変動もあります。
外来で慎重に確認してく必要があります。
「EFが保たれているから治療薬がない」の時代は終わったと思っています。
「心不全を早期に発見し、LVEFを越えて基礎治療を早く導入し、原因・肥満・腎臓・鉄欠乏などまで含めて包括的に治療する心不全診療」
の時代であることを強く認識しています。
