2026年の心不全 第三話 SGLT2阻害薬は心不全の治療薬
SGLT2阻害薬と聞くと、
「糖尿病の薬ですよね?」
と思われる方がいらっしゃいます。
SGLT2阻害薬の効果により尿検査を行うと尿糖が4+になります。
それなのに検診やドックで、糖尿病の疑い、とまで書いてくるとこまで2026年8月でも、いまだにあります。
確かに、もともとは血糖値を下げる薬として開発されました。
しかし現在では、SGLT2阻害薬は心不全治療の中心的な薬になっています。
2021年は主にHFrEFが対象でした
2021年のESC心不全ガイドラインでは、SGLT2阻害薬は主としてLVEFが低下したHFrEFに対する重要な治療薬でした。
その後、EMPEROR-PreservedやDELIVERなどの研究によって、LVEFが保たれている患者さんでも心不全入院を減らす効果が示されました。
とくにDELIVER試験は私が診療していた患者さん10名のご協力をいただき、研究に参加させていただきました。
2023年のFocused Updateでは、HFmrEFやHFpEFにも推奨が広がりました。
そして2026年。
ついに「EFを問わずClass I」
2026年ESCガイドラインでは、
症候性心不全であればLVEFにかかわらず、ダパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを推奨
とされました。
推奨度はClass I Aです。
つまり、
「EFが35%だから使う」
「55%だから使わない」
という薬ではなくなりました。
糖尿病がなくても使われる
これも非常に重要です。
SGLT2阻害薬の心不全への効果は、血糖値を下げることだけでは説明できません。
そのため、糖尿病がない心不全患者さんでも使用されます。
心臓と腎臓を同時に守る
心不全患者さんでは腎機能低下を合併することが少なくありません。
SGLT2阻害薬は、
心臓と腎臓を一つのつながった臓器として守る薬
と考えると理解しやすいと思います。
2026年ESC心不全ガイドラインを象徴する薬を一つ挙げるなら、SGLT2阻害薬は間違いなくその一つです。
「EFはいくつだからSGLT2-Iを使えるか」の時代は終わったと思っています。
「心不全を早期に発見し、LVEFを越えて基礎治療を早く導入し、原因・肥満・腎臓・鉄欠乏などまで含めて包括的に治療する心不全診療」
の時代であることを強く認識しています。
