9月最終日、多忙な一日の香り。
薫風と言えば、春や初夏の季語です。
緑の隙間から心地の良い風が吹いているのを想像します。
今日は、どことなく甘い香りを感じました。
金木犀の香りです。
どこからともなく漂ってきます。
この香りが立ち込めると、私はいつも自然と立ち止まり、深呼吸をして、昨年からもう一年がたったことを思います。
あっと言う間でした。
甘く、どこか懐かしさを感じさせる香りを感じながら時間の流れという漠然としたものを考えます。
幼少期の思い出や過ぎ去った季節の光景を鮮明に蘇らせる力があります。
記憶と匂いは対の関係でしょう。
金木犀の香りは、秋の訪れを告げる使者のような存在です。
その香りが季節の変わり目を優しく知らせてくれるかのよう。
この日々の忙しさに追われ、季節の移ろいに気づかないことも多いですが、金木犀はその甘い香りで私たちに「今」を感じさせ、立ち止まる瞬間を与えてくれます。
また、金木犀の花は控えめで、小さなオレンジ色の花が密集して咲きます。
その香りが人々の心に深く響くように、自分たちのクリニックもそんな存在でありたいと思います。
患者さん一人ひとりに寄り添い、目立つことはなくとも、心地よい安心感を提供できる場所でありたい。
金木犀が風に乗って香りを運ぶように、当院も静かに、しかし確実に、地域の健康を支え続けていきたいです。
この季節、外を歩いて金木犀の香りに気づいたら、どうか少しだけ立ち止まってみてください。
秋の空気に包まれながら、今という瞬間を感じ、心と体をリセットする時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。