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2025年の脂質管理

[2025.08.30]

以前は毎年、ヨーロッパ心臓病学会 通称ESC へ参加していました。

そこでは、全世界から今考えるべき問題課題と最先端の情報交換がされています。

また、ガイドライン、というほぼ世界中の医師が治療の参考にするものが改定されていきます。

いわば医療の道しるべ、この病気にはどう治療するのが一番安全で効果的か、を専門家が決めたものです。

 

今回、脂質代謝異常のガイドラインがアップデートされました。

ここ数日の話です。

日本ではまだあまり知られていない、あるいは一般的になっていない内容も多く、これからの健康管理のヒントになると思います。

 

https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf190

 

いつくかの参考になる部分があり、ここで紹介させていただきます。

1. 高齢者も対象になる新しいリスク予測

従来は70歳までしか評価できなかった心臓病のリスクが、70歳以上〜89歳まで予測可能になりました。

これまでは「10年以内に心臓病で亡くなる確率」を予測していましたが

新しい方法(SCORE2/SCORE2-OP)では 「心筋梗塞や脳卒中になる確率」も含めて予測できるようになりました。

日本は長寿社会です。

いつまでも健康に、長生きで、と考えるなら、リスク評価に年齢での制限が入るのはおかしな話でした。

 

2. CTで「隠れ動脈硬化」を見つける

冠動脈石灰化スコア(CACスコア)を使うと、症状がなくても心筋梗塞と同等のリスクが分かります。

冠動脈CTでのCACスコア(石灰化スコア)や、頸動脈エコーのプラーク所見を「リスク修飾因子」として考慮するとあります。

 

特にCACスコアが300を超えると、臨床的に心筋梗塞を起こした人と同等以上のリスクとみなされます。

当院では、心臓ドックでこの冠動脈石灰化スコアを いつでも、すぐに測定できます。

 

それにより、予防的にもっと早く、確実に対応できることが可能になります。

当院の心臓ドックで確認することができます。

 

 

将来のリスクを数値で見える化できるのは大きな安心です。

また。

保険診療では、実際に心臓の病気になって困ってからの対処です。

 

心臓病にならないためには? に対する答えとしては完全ではないのです。

ですので、当院では心臓ドックの内容を適宜最新の内容にしていき洗練させています。

 

3. 新しい薬の選択肢

スタチンが合わない方に、

  • ベンペド酸(飲み薬)
    スタチンが使えない患者さんでもLDL-Cを下げることが可能になりました。

  • エビナクマブ(注射薬)
    家族性高コレステロール血症(HoFH)で効果が期待できます。

  • インクリシラン(年2回注射) 
    商品名は レクビオ といいます。
    当院でもこの薬剤を用いて治療を行っております。

    新しい治療が世界で使われ始めています。

    「スタチンで筋肉が痛い」「薬が合わない」と感じたことがある方はご相談ください。

    薬をのまない、 という手もありますが、動脈硬化が進行していくリスクもあり治療のバランスが必要です。

4. 心筋梗塞後は“早く・強く”

欧州では、心筋梗塞直後からスタチン+追加薬で一気に下げる治療が推奨されています。

従来の段階的治療(まずスタチン→効果不十分なら追加)よりも

「早く・強く下げる」方が再発予防に有効と報告されています。

退院後に追加するのではなく、最初から強力に下げるほうが再発予防に有効である、と強く主張されています。

個人的には、病院で心筋梗塞の患者さんの治療を数多く行ってきた経験でも

なるべく早く

なくべくしっかりと 

LDLコレステロールを低下治療することで再発が最小限にできる実感がありました。

日本でも今後広がっていく流れです。

 

5. Lp(a)を一生に一度は測る

リポ蛋白(a) [Lp(a)] という検査は、遺伝的に心筋梗塞リスクを高める因子です。

まだ日本では普及していませんが、「一生に一度は測る」ことが推奨されています。

高値(>50 mg/dL)は心筋梗塞・大動脈弁狭窄のリスク増大することがわかっています。

それがわかれば

>生活を変える必要性がわかる

>おくすりの組み方が変わる

>食事や運動管理をどれくらいしっかり頑張るのかの参考になる。

 

メリットはたくさんあります。

ご希望の方は当院で測定可能です。

心筋梗塞後の方は保険で検査が可能です。

でも心筋梗塞になる前に知りたい方は自費検査になります。

 

また、RNA治療薬でこのLp(a)を98%低下させる臨床研究も進行しています。

当院の心臓ドックで確認することができます。

 

6. サプリよりも確実な方法を

EPA・DHAサプリについては「心臓病予防効果は証明されていない」と結論づけられました。

サプリで安心、ではなく、生活習慣改善+必要ならエビデンスのある薬で治療することが最も確実です。

 

 

世界の最新の流れを感じます。

「もっと早く」

「もっと正確に」

「もっと個別に」

リスクを見つけ、予防していく方向です。

それは、戸頃循環器内科クリニックでも強烈に意識し、大事にしている考え方です。


こうした知見を取り入れながら、皆さんの健康を守るお手伝いをしていきます。

 

 

パリでESCに参加したときに、学会最終日、勉強したことが溢れかえりすぎました。

気分転換で街を散策したときにみた景色です。

自分の目の前に来た患者さんに一番いい医療を提供できるようにいつでもしっかり学んでいこうと思ったのを思い出します。

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