若い女性の狭心症
「狭心症=高齢の男性の病気」ではない時代
狭心症(きょうしんしょう)とは。
心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈の血流が一時的に不足し、胸の痛みや圧迫感などを起こす状態です。
以前は「高齢の男性の病気」というイメージが強かったです。
いまで、そう考えている先生もいるかもしれません。
でも、最近では若い女性のあいだでも狭心症がじわじわと増えていることが、世界的な研究からも分かってきました。
若い女性の狭心症の特徴は?
若い女性の狭心症には、いくつか特徴があります。
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狭心症状が月経周期にあわせて変動する
→ とくに「月経前や月経中」に症状が強くなる方が多いです。 -
検査で太い血管に詰まりは見つからないことがある
→ 「冠動脈CTでは異常なし」と言われても、実は微小血管の働きの低下(微小血管狭心症)や冠動脈のけいれん(冠攣縮)が隠れていることがあります。 -
息切れや疲れ、背中や顎の痛みなど狭心症の典型的な症状が出る場合も
→ 胸の痛み以外の症状も見逃せません。
なぜ月経と関係するの?
月経周期の中では、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のバランスが日々変わっています。
研究では、
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エストロゲンが多く、プロゲステロンが少ない「卵胞期」には症状が軽く、血管も拡がりやすい
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月経直前〜月経中はホルモンがガクッと落ちて症状が悪化しやすい
という傾向が報告されています。
実際、運動負荷検査などでも、月経期に虚血(心臓の血流不足)が起きやすくなる人もいます。
「異常なし」で終わらせないために
「検査で異常がない」と言われたのに症状がつらい。。。
そう言われて当院を受診される方が来られます。
当院では、以下のような視点からしっかりした評価と対応を行っています
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月経周期との関連を詳しく問診し、症状の変動を見極めます
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心電図・心エコー・ホルター心電図・血液検査に加えて、冠動脈CTや負荷検査も症状に合わせて検討します
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必要に応じて、ホルモン変動や婦人科的要因との関係も専門医と連携します
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微小血管や内皮機能に働きかける薬物治療や生活改善をご提案します
こんな症状がある方はご相談ください
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胸が締めつけられるように痛む、圧迫感がある
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階段や坂道で息が上がる、胸が苦しい
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生理前に胸が痛くなる
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病院では「異常なし」と言われたが不安がある
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背中や顎、肩の違和感や動悸がある
狭心症は、若い女性にも起こる病気だということがわかってきました。
ホルモンや月経周期が関係することもあります。
「異常なし」で終わらせず、症状で困っているのなら徹底的にそこへの手当が必要です。
あなたの体のサインを、どうか「気のせい」と片付けないでください。
気になるときにはお気軽に当院にご相談ください。
当院解説ページ 若年女性の狭心症
