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筋肉が増えれば脂肪は減るのか?

[2025.10.13]

結論から。

体重がほぼ横ばいでも、筋肉(骨格筋)が増えるほど体脂肪は減りやすい。

という傾向が最新の研究で確認されています。

体重計の数字だけでは健康状態は語り切れません。

体組成計(筋と脂肪)で見ることが重要です。

当院ではInbodyを用いて、体重管理や水分評価を行っています。

 

という横断研究の報告がありました。

Sports Medicine (2025) 55:1867–1885

 

どんな研究か。

  • 対象:ヒト研究と動物研究、合計100件超を統合した解析

  • 主要所見(ヒト)

    • 筋量が約2–3%増えると、体脂肪は平均で約4%減少の傾向

    • 併せて、空腹時血糖は平均で約6%低下HbA1cも緩やかに改善

  • メカニズムは

    1. 筋が増えると基礎代謝・活動時消費が上がる

    2. 成長する筋は糖やアミノ酸を使うため、脂肪に回る分が相対的に減る

ということです。

 

動物実験での比較

左側は、β₂作動薬クレンブテロール(3 mg/kg飼料、4週間)+ ブタ成長ホルモン(0.1 mg/kg/日、3週間)を投与したブタの第10肋骨部の断面の比較になります。

右側は無処置の対照群のブタです。


・処理個体では筋肉層が明らかに厚く、脂肪層が薄くなっています。

・これはβ₂作動薬および成長ホルモンが筋肥大を促進し、脂肪沈着を抑制した結果といえます。

 

筋肉が増えたことで → 脂肪が減っている、ということです。

この減少をリパーティショニング効果、と呼んでいます。

栄養素の体内配分が筋肉側に偏ることで、脂肪沈着が減少していく現象です。

研究では薬剤を用いていますが、筋トレで同様の効果が得られます。

 

この論文で言えることは

Q. 体重はあまり変わらないのに、筋肉が増えると脂肪は減りますか?

A. はい。筋が増えるほど脂肪は減りやすい傾向があります。


平均的には、筋量+2–3% → 体脂肪−約4%が期待し得る目安と考えられます。

当然、個人差があります。

  1. 痩せようと思ったら、体重をみるより体組成を見たほうがよい

    • 体重“だけ”では変化が見えません。

    • 筋肉が増えて、脂肪が減る、という現象があります。

    • それはダイエット、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常症管理では非常に重要な変化です。

    • でも体重計だけではそれが見えません。

    • なので、運動やっても無駄かぁ、とか、効果でないなら続けてもしょうがないなとなってしまいがち。

      筋量・体脂肪率
      を定期モニタリングすることで、ただしく体を評価することができます。

    • 当院ではInbodyの測定は有料ですが500円で気軽にできるようにしています。

  2. 週2–3回のレジスタンストレーニング

    • 大筋群(脚・背・胸)を中心に、中強度×8–12回×2–3セットを目安に。継続が最優先。

  3. 十分なたんぱく質+生活活動量

    • 1日体重×1.0–1.5gを目安になります。

    • 階段使用やこまめな歩行で総消費も底上げするのが良いです。

 

「体重が減らない=失敗」?

→ いいえ。筋↑・脂肪↓なら健康度は改善

見た目・代謝は良い方向に変わります。

 

「有酸素運動だけで十分?」

→ 有酸素も大切ですが、筋を増やす=脂肪が落ちやすい土台づくりとなります。

両輪が理想です。

 

「高齢・肥満でも効果は?」

→ むしろ改善幅が出やすい傾向が報告されています。

フォームと安全性に配慮して実施を。

 

 

体重は据え置きでも、中身(筋増加・脂肪減少)が良くなるのが良いと思います。

タンパク質は、個人的には豆乳などの大豆食品や、鶏肉から摂るのをおすすめしています。

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