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検診で「コレステロールが高い」と言われました。

[2025.03.08]

痛みがあれば医者を探し、痛みがなければ病は育つ。

詠み人知らず。

 

コレステロール値が高いと言われるとき、いずれかのパターンです。

LDL-c 悪玉コレステロールが高い。

TG 中性脂肪が高い。

non-HDLコレステロールが高い。

 

甲状腺疾患やいくつかのおくすりの影響でコレステロールが増えることがあります。

これは続発性、二次性と呼ばれます。

薬の影響でコレステロールが上がるときには、その薬を使い続けるかどうかは、もともとの病気の治療の状況によって判断します。

 

実際に多く見かけるのは、体質や遺伝により発症する脂質代謝異常です。

 

家族性高コレステロール血症は200人に一人いるといわれています。

数は多く、さらに未診断、ゆえに未加療のかたが多いことが問題となっています。

 

コレステロールの高値、が、長く続く、と動脈硬化が進みます。

高い✕期間 で問題が悪化していく、と理解されるのが良いです。

 

この高さ✕期間 で、動脈硬化の進行や、脂肪肝などの肝障害が問題となります。

 

では、コレステロールが高いときにどう考えていくのか、という話です。

まずは、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の既往があるかどうかが重要になります。

あれば二次予防、つまり再発予防が治療目的になるので、厳密な管理が必要である、と判断します。

スタチンというコレステロールを強力に下げるお薬の力が必要になります。

薬を始めた以上はしっかりLDLが下がることを求めていきます。

最低でもLDL-c 100未満 

あるいは 70 未満。

ヨーロッパの心臓病学会では、ハイリスク症例ではLDL 55未満での管理目標が推奨されています。

 

さらに。

糖尿病。

慢性腎障害。

末梢動脈疾患。(足への動脈の狭窄)

などのがあれば高リスクとなります。

つまり、コレステロールが高い状態が続くと寿命が短くなる可能性がある、ということです。

二次予防は、総力戦です。

食事や運動、薬の調整、定期的な検査などを駆使して徹底的に再発を予防します。

安心して生活ができているか、気持ちが落ち込むようなことはないかなど、メンタル状態も非常に重要なポイントになります。

 

一次予防。

検診でたまたま、あるいは時々コレステロールについていわれている方のほとんどはこちらでしょう。

 

基本的原則では、3−6ヶ月は生活習慣の改善を行います。

その後再度評価をして、薬物治療を考えます。

 

でも、実際には、2シーズンにわたり生活習慣の改善を維持するのは難しいです。

さらに、それによりコレステロールが改善しているのも珍しい。

LDL-cが 180mg/dl を超えている場合には、生活習慣の改善だけでは無理と思います。

(これは私見です)

動脈硬化ガイドラインでもいわれているように LDL-c 180 以上では薬物治療を考慮することが多いです。

 

家族性高コレステロール血症では、遺伝子の影響です。

小学生、中学生というころからすでにコレステロールは高値。

かつ長く続いている、ということで、高い✕期間 Maxという状態です。

 

冠動脈疾患リスクが高く、頸動脈エコーや場合によっては心臓CTにより冠動脈疾患の評価が必要になることもあります。

 

 

どうすればいいの?

まずは生活習慣の改善です。

何を改善すればいいのかを医師やメディカルスタッフに見つけてもらうのが良いです。

 

Youtubeやそのたぐいの本はたくさんあります。

でもそれは、あなた向けに書かれたものかどうか?は考えたほうがいいです。

野菜を食べるのが嫌いな人が、野菜を使ったメニューを勧められても続かない。

外食メインで生活しているのに、献立の作り方を読んでも活かしにくい。

家族の好みに合わせると、なかなか献立もバリエーションには限界がある。

 

食事の嗜好は人それぞれ。

でもどうにかしたい。

当院では、管理栄養士からまずは何を食べてきたのか、からはじめる食事指導を行っております。

 

運動に関しても同様です。

有酸素運動と、筋トレは異なる運動です。

一日で両方やるよりも、日を変えてやるほうが効果的だったりします。

仕事や家事で忙しい毎日でも、どこかにスキマ時間があったりします。

診察のたびに運動しているかと聞かれれば、また取り組み方も変わるかもしれません。

 

そんな数ヶ月を過ごしつつ、また血液検査をして判断していきます。

 

でも。

採血検査前日に、食事を抜いたりする人もいます。

極端に食べずに、採血を受ける方もいます。

 

それって。

血液検査は受験じゃないです。

いい成績を取る必要はなく、いつもどおりの状態を確認するのが重要です。

いつもの自分で、問題ないのかどうかを確認するのが目的ですね。

せっかく適切な判断をする機会を失ってしまうかもしれません。

ということを考えつつ、ある日急に血液検査をしてみましょう、なんて提案することもあります。

 

「3ヶ月後に血液検査するのでまた受診してくださいね」みたいなのはなかなか事態が改善しませんね。

 

戸頃循環器内科クリニックでは、生活習慣の改善とともに、しっかりした検査評価と治療タイミングの判断、その後のフォローが重要と考えます。

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