検診で ALP アルカリフォスファターゼが高いと言われたんですけど
ALP(アルカリホスファターゼ)は、主に肝胆道と骨で作られる酵素です。
酵素?
体に良さそう、というイメージの方もいると思いますが、体の中で化学反応のスピードを何万倍にも速くする、タンパク質の道具(触媒)です。
自分は減らずに、同じ仕事をくり返しできます。
例えるのならば。
台所の下ごしらえ、材料(栄養)を切る・分ける・くっつけるのを一瞬でやってくれるイメージが近いです。
健診で高いと言われても、原因は幅広く、肝臓の病気だけとは限りません。
まずは落ち着いて考えるのが大事です。
ALPが高くなる主な理由
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肝胆道のトラブル:胆石、胆道炎、肝内胆汁うっ滞、薬剤性、自己免疫性胆管炎など
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骨の代謝:ビタミンD不足、甲状腺機能亢進、骨折の治癒期、Paget病、腎性骨異栄養症、薬剤(抗てんかん薬 など)
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生理的:成長期(小児~思春期)、妊娠後期(胎盤由来)
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食後:とくに血液型O/B型の方は、油ものを食べた直後の採血で上がることがあります
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マクロALP:ALPが免疫グロブリンと結合して高く見える体質的タイプ。
基本的に良性です。 -
腫瘍関連(頻度は低い):一部の腫瘍が胎盤様ALPを作る、骨転移 などで上がります。
こう書くと、とても心配しますが、頻度は低い、ということが重要です。 - 潰瘍性大腸炎:治療中の方でも、治療前でも上昇していることがあります。
まず確認すること
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空腹で採血だったか?(前回が食後なら、空腹時に再検を)
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他の肝機能(γ-GTP、AST/ALT、ビリルビン)はどうでしたか?
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骨の症状(骨痛、筋力低下、こむら返り)や、最近の骨折は?
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内服薬(抗てんかん薬、甲状腺関連薬、漢方など)は?
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妊娠の可能性は?/お子さんなら成長期による高値のこともあります
受診の目安
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中等度以上(基準上限の約2倍以上)の上昇
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黄疸、掻痒、右上腹部痛、発熱などの症状がある
健診で見つかる程度では、そもそも症状があることはないと思います。
でも、その後の経過で、やっぱり症状が、、、ということはありますので、ねんのため。 -
持続して高い(空腹で取り直しても高い)
再検査、は大事です。
もう一回計ってみる、ということです。 -
体重減少や原因不明の倦怠感が続く
なんか、だるい。
→ これらに当てはまる場合は、早めの精査をおすすめします。
当院での評価の流れ
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再採血(空腹時) もう一回採血、です。
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γGTP/ AST・ALT / ビリルビン:肝胆道由来かを判定
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骨型ALP(BAP)・P1NP・TRACP-5b / Ca・P / 25-OH-ビタミンD / TSH:骨由来の評価
アイソザイム、といってALPの中には6つタイプがあるため、どこからALPが高くなっているのかを調べます。
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腹部超音波(必要に応じて)
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胆のう結石、胆管拡張、脂肪肝の有無などを確認
脂肪肝はかなり多く見つかります。
体重やコレステロール値、とくに中性脂肪が高いときには注意深く見ます。
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アイソザイム分画
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肝型・骨型・小腸型・胎盤型・マクロALPの切り分け
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追加検査
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自己免疫抗体(抗ミトコンドリア抗体など)、甲状腺や副甲状腺機能、骨密度、画像検査 などは背景に応じて最小限から
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でも
心配なときには当院へおかかりいただくのが早いです。
空腹再検+肝胆道評価(超音波)+骨代謝評価を組み合わせて、原因の絞り込みを短期間で行います。
必要に応じてしっかり経過を見極めていくことも大切です。
健診結果をお持ちいただければ、その場で次の一手までご説明します。
