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早寝を習慣にしたいときに役に立つ話。

[2025.10.04]

「朝がつらい」

「夜に寝つけない」

 

秋の夜長、という言葉を聞いて、夜に何をしようかな、とワクワクする人もいれば、たくさん眠れる!と思う方もいるかも知れません。

せっかくだからは早く寝よう、と思ってもなかなか眠くならない、ということもあります。

 

この眠りのサイクルを体内時計(サーカディアンリズム)と呼んでいます。

 

どうにかして、この時計を調整する方法がないか?という話です。

時差ボケを強制的に修正するには?という話にもつながります。

 

少しずつ“朝型”に整える方法についての論文があります。

アメリカ・ラッシュ大学の研究チームが行ったものです。

「朝の光」と「午後のメラトニン摂取」で体内時計を早める方法を調べたものです。

 

 

Sleep Med. 2015 February ; 16(2): 288–297. doi:10.1016/j.sleep.2014.12.004.

この研究では、次のような工夫をしました

  • 朝の強い光を当てる時間を、30分/1時間/2時間の3パターンで比較

  • 夕方にメラトニン0.5mgを内服

  • 就寝・起床を毎日1時間ずつ前倒し

すると、最も光の長かった2時間グループで体内時計が平均2.4時間前進した、といことです。


注目すべきは、たった30分の光でも1.8時間分の効果があり、十分に有効だったことです。

 

どう応用するか?

① 朝の「強い光」を浴びよう

起きたらすぐにカーテンを開けて朝日を浴びる

これだけです。

曇りや冬は、ライトボックス(5,000〜10,000ルクス)という専用の光器具を使うのも言われていますが、電気代はかかります。

時間がなければ30分だけでも効果あり

理想は60〜120分。

② メラトニンは「夕方」にとる

睡眠薬として使われてもいるメラトニンの服用が言われています。

日本では、小児用の睡眠薬として処方されています。

保険診療で用いられる成人向けのメラトニン薬はありません。

早く眠れる体内の準備に、就寝の5時間前が効果的ということがわかりました。

 

サプリメントで市販されている0.5mgの低用量メラトニンを、夕方に飲むのがポイントといえます。

 

③ 睡眠時間を“毎日1時間ずつ前倒し”

これはちょっとチャレンジ。

でも、体内時計を無理なく進めるコツです。

1日で一気に2時間早くするのではなく、毎日コツコツ1時間ずつ前へ

例えば、いつも0時就寝の人が「22時に寝たい」とすれば

  • 初日:23時に寝て7時起き、夕方19時にメラトニン

  • 二日目:22時に寝て6時起き、夕方18時にメラトニン

2日間実践するだけでも効果があった、という報告もあります。

 

どんな人へメリットが有るのでしょうか

  • 早起きが必要な生活が始まる前(転職・出張)

  • アメリカなど東向きの海外出張(時差ぼけ対策)

  • 夜ふかし体質で朝がしんどい方(遅延型睡眠)

「眠れないから薬…」の前に、自然の力をうまく取り入れてみることも選択肢の一つです。

メラトニンを使わなくても、朝日をしっかりあびる、だけでもいいと思います。

 

注意点

  • 眼の病気がある方、光に過敏な方(片頭痛やてんかんなど)は強い光に注意が必要です

  • メラトニンはふらつきや眠気が出ることもあるため、服用後の車の運転は避ける必要があります




「朝がつらい」「夜寝つけない」

その原因には、体内時計のズレがあるかもしれません。

 

研究が示すように、朝の30分の光と夕方のメラトニンの組み合わせは、無理なく体内リズムを前に進める助けになります。

当院では、睡眠リズムの整え方や生活改善のアドバイスも行っています。


お薬に頼りすぎず、生活の中でできることを一緒に考えていきましょう。

 

ぐっすりねむることと、すっきりおきることはセットで考えたいですね。

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