思い出せない懐かしさについて。
日曜日。
風が枝をゆすぶるたびに、花びらがふわりとしました。
葉桜の時期を始まりの季節と呼んでいます。
ふとした瞬間に心に舞い戻り、何も言わずに消えていく。
いつのことだか思い出せないけれどとても懐かしい気持ちになったりします。
春の風には、そんな力がある気がします。
冬がとても寒かったから、余計にそう思います。
医師として日々患者さんと向き合っていると、「体の痛み」や「息苦しさ」といった目に見える症状の背後に、
それぞれのかたの人生の風景や、言葉にできない思いがあること感じることがあります。
たとえば、検査の結果を待つ時間。
あるいは、薬を飲みながら日常を取り戻していく日々。
そうした時間に必要なのは、数値だけでは測れない、心の拠りどころではないでしょうか。
桜は、咲いては散る。
その一瞬の美しさに、私たちは何かを託している気がしています。
戸頃循環器内科クリニックは、普段の生活の中に、「静かな安心」を届ける場所でありたいと思っています。
どこかに行って気分を変えたいとき、ほんの少し誰かと話したいとき、あるいは理由はなくても、
「ふと立ち寄れる場所」として、クリニックが日常の中で存在できたらいいなと思っています。
病院なんて、来ないのが一番いいんだ、という考えもあります。
でも、予防医療や早期治療というのは、日常の中に当たり前にあるのがよいと考えてます。
花びらが地面に触れる瞬間、そこにはきっと、また新しい芽が隠れています。
新しいことを始めるには、いい季節です。
クリニックではヨガ教室を始めることにしました。
どうぞ、よい春の日々をお過ごしください。