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帯状疱疹ワクチンは高いのか

[2026.07.27]

帯状疱疹ワクチンには2種類あります。

生ワクチン 1回接種。6〜8千円。

不活化ワクチン 2回接種で約4.5万円前後。

 

単純に値段を比較すれば不活化ワクチンは高いです。

 

帯状疱疹ワクチン「2回で約4万円」は本当に高いのか

「病気になっていないのに4万円を支払うのは、お金の無駄ではないか」

それが普通の感覚です。

 

でも。

比較するのは、生か不活化か、ではないのでは、ということをお伝えしたいです。

 

たとえば。

生ワクチンを接種して、1年後の帯状疱疹予防率は 60%

不活化ワクチンは90%以上。

 

5年後。

生ワクチン約40%

不活化ワクチン 約90%

 

10年後。

生ワクチン もう効果はない。もしくは期待できず。

不活化ワクチン 約70%

 

発症を予防する、という観点だけでも、長く続くという点で圧倒です。

 

 

実際に帯状疱疹を発症した場合の治療費と身体的なダメージを考えると、ワクチンは極めてコストパフォーマンスのよい予防医療と考えられます。

 

帯状疱疹は、単に皮膚に発疹や水疱ができる病気ではありません。

神経に沿って炎症が起こるため

焼けるような痛み

針で刺されるような痛み

衣服が触れただけでも痛む異痛症

などを生じます。

 

痛みが強ければ、睡眠、仕事、家事、外出といった日常生活にも大きな支障を来します。

 

しかも。

その痛みは続くのです。

数ヶ月から、人によっては1年以上です。

生活への影響が大きすぎます。

 

外来治療だけでも考えても

例えば、帯状疱疹を発症して初診を受け、抗ウイルス薬が処方された場合、診察料や処方に関連する費用などを合わせると、医療費総額は約2万円程度になることがあります。

 

患者さんの窓口負担が3割であれば、自己負担額はその一部ですが、残りは健康保険から支払われます。

つまり、患者さん個人の負担だけでなく、社会全体としても医療費が発生します。

さらに、皮膚症状が治った後も神経痛が残れば、帯状疱疹後神経痛として継続的な治療が必要になります。

この帯状疱疹後神経痛は

例えば、神経障害性疼痛に対してプレガバリンなどを30日分処方し、再診料などを含めると、1回の受診で約5,000円程度かかることがあります。

これが毎月続けば、半年で約3万円、1年間では約6万円になります。

 

薬剤の種類や用量、検査、処置の内容によって医療費は変わりますが、神経痛が長引くほど医療費はワクチン費用を上回っていきます。

 

入院すれば4万円では収まりません

高齢者や免疫機能が低下している方で考えてみます。

たとえば発疹が広範囲に広がる播種性帯状疱疹。

広範囲がずっとずっとずっと痛い。

しかも刺されたように。

一日中。

ずっと。

耐えられません。

強い疼痛のせいで、食欲など湧くはずもなく。

 

食事摂取困難、脱水、細菌感染などにより入院が必要になることがあります。

 

目の周囲に発症すれば角膜炎や視力障害。

耳の周囲に発症すれば顔面神経麻痺や難聴を伴うこともあります。

この場合には、すぐに、抗ウイルス薬を始めること。

それが非常に重要になります。

仕事があって受診できなかった、とか。

どうしても外せない用事があって、とか。

内服治療開始まで時間がすぎるほどに、後遺症や失明、難聴のリスクは高まってしまいます。

 

入院となれば、検査、点滴、抗ウイルス薬、疼痛管理、入院基本料などが加わります。

 

医療費総額は4万円を軽く超え、入院期間や重症度によっては、さらに大きな金額になります。

その間にできなかった社会的生活、はなかったことになってしまう。

お金では表現できない損失も生じます。

 

帯状疱疹後神経痛のダメージ

帯状疱疹の発疹は通常2~4週間程度で改善します。

なのに。

痛みだけが数か月から数年以上残ることがあります。

これが帯状疱疹後神経痛です。

 

「夜に痛くて眠れない」

「服が触れるだけで痛い」

「外出する気になれない」

といった状態が続けば、生活の質は大きく低下します。

長期の不眠、活動量の低下、食欲不振、気分の落ち込みにつながる場合もあります。

こうした苦痛は、医療費だけで評価することはできません。

 

ワクチンの値段を何と比べるか。

10年守ってくれる不活化ワクチンが4.5万円程度。

それに対して。

帯状疱疹を発症したあとのコスト。

この2つの比較こそが重要だと思います。

 

実際に帯状疱疹を発症すれば、

初診時の抗ウイルス薬を含む外来治療で約2万円、神経痛が残れば毎月約5,000円程度の医療費が継続し、入院すれば4万円を大きく超えるでしょう。

 

さらに、強い痛み、睡眠不足、欠勤、家事や介護への影響、視力障害や顔面神経麻痺などの合併症まで考えれば、病気による損失はワクチン代をはるかに上回ります。

 

 

もちろん、ワクチンを接種しても帯状疱疹を100%防げるわけではありません。

 

また、接種後に腕の痛み、発熱、倦怠感、筋肉痛などが起こることもあります。

でも、それは1ー2日の話。

 

5年、10年という単位で考えものです。

 

帯状疱疹の発症と帯状疱疹後神経痛のリスクを大きく減らせることを考えると、2回で約4.5万円のワクチンは、身体的ダメージの予防でも医療経済的な意味でも、極めてコストパフォーマンスのよい選択肢と見ています。

 

帯状疱疹は発症してから治療することはできます。

しかし、治療を開始しても、すべての痛みや帯状疱疹後神経痛を完全に防げるわけではありません。

 

最も確実な方法は

病気になってから安く治療することではなく、重症化しやすい病気を発症前に予防することです。

 

これは。

当院が心臓病や脳、血管、腎臓の病気を発症する前のうちに見つけてることが重要で、血圧やコレステロール、血糖異常を治療することが重要です、と言っていることと同じです。

 

予防をすることが、最高で最速の治療である、という考え方と通底しています。

 

市からの補助で帯状疱疹ワクチンを安く打てるのもおそらく生涯1度だけ。

せっかくの補助を利用するなら高い方を打つ、という考え方もありますね。

 

さらに。

帯状疱疹が一度発症しても、再発が1−6%と言われています。

一度帯状疱疹になったことがあるから、ワクチン不要、と言えないのです。

再発の予防効果も期待できるのですから。

 

帯状疱疹を正しく捉えて、最善の選択である予防をしっかりとしていく。

そのための不活化ワクチンは、決して高い、とは思いません。

 

 

 

【画面下に帯状疱疹患者さんの発疹の写真があります。見たくない方はここで画面を閉じてください】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もういちど。

 

【画面下に帯状疱疹患者さんの発疹の写真があります。見たくない方はここで画面を閉じてください】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DOI: 10.1056/NEJMcp1302674
 
 
これを10年間で70%予防効果があるのなら、すぐにでも不活化ワクチンを打ったほうがいいと思うのです。
 
5年後で40%しか予防してくれないのが生ワクチン。
 
だから、どっちがいいの?と聞かれたら。

人類の叡智の結晶として、不活化ワクチンがおすすめです、と答えています。

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