帯状疱疹ワクチンと心臓病
最近、帯状疱疹ワクチンについて、とても興味深い報告がありました。
帯状疱疹ワクチンを接種した方では、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントが少なかった、という内容です。
特に、もともと心臓や血管の病気をお持ちの方で、その差が大きくみられたことが注目されています。
帯状疱疹というと、「皮膚に出る痛い病気」という印象をお持ちの方が多いかもしれません
実際に、強い痛みが出たり、その痛みが長く残ってしまったりすることもあります。
日常生活に大きく影響することもあります。
ですが、帯状疱疹の影響はそれだけではないかもしれないと考えられています。
体の中で炎症が起こることで、血管や心臓にも負担がかかる可能性があるのです。
心臓病を予防するかもしれないワクチンとして
今回の報告では、動脈硬化性の心血管疾患がある50歳以上の方を対象に、帯状疱疹ワクチンを受けた方と受けていない方が比べられました。
その結果、ワクチンを受けた方では、1年以内の主要な心血管イベントが少なかったとされています。
心筋梗塞、脳卒中、心不全、そして死亡のリスクについても、低下がみられたと報告されています。
循環器をみている立場としては、帯状疱疹を予防することが、結果として心臓や血管を守ることにもつながるかもしれない、というのはとても気になる話です。
さらに。
Nguyen氏は、こうしたリスク低下の大きさは非常に大きく、禁煙によって期待される効果に匹敵するほどだと述べ、50歳以上の成人すべてに帯状疱疹ワクチン接種を勧める現在の推奨を支持する結果だとしています。
ただ、「絶対にそうだ」とは言い切れません
この結果は観察研究によるものです。
つまり、「ワクチンを打ったから心血管イベントが減った」と、そこまで断定できる段階ではありません。
ワクチンを受ける方は、もともと健康への意識が高かったり、きちんと通院や治療を続けていたりする可能性もあります。
そうした背景の違いが影響していることも考えられます。
ですので、現時点では
「帯状疱疹ワクチンが心臓病を防ぐためのワクチンです」
とまでは言えません。
ただ、帯状疱疹を防ぐことに加えて、心臓や血管にもよい影響があるかもしれない、というのはとても前向きな話だと思います。
予防の価値、はある
帯状疱疹ワクチンは、もともと帯状疱疹そのものや、そのあとに続くつらい神経痛を防ぐために大切なワクチンです。
そこに加えて、心血管イベントを減らせる可能性まであるとしたら、特に50歳以上の方や、高血圧、脂質異常症、糖尿病、狭心症、心筋梗塞の既往がある方にとっては価値のある話です。
予防医療は、すぐに実感しにくいもの。
大きな病気を起こしてから後悔するより、元気なうちにできることを一つずつ積み重ねていくことは、とても大切だと思っています。
心筋梗塞や脳卒中は、ある日突然起こるように見えて、その前から静かに準備が進んでいることが少なくありません。
だからこそ、症状がない今こそ、予防を考える意味があります。
気になる方はお気軽にご相談ください
戸頃循環器内科クリニックでは、血圧、コレステロール、血糖の管理だけでなく、将来の病気を防ぐための予防も大切に考えています。
帯状疱疹ワクチンについて気になっている方
心臓の病気があるので帯状疱疹ワクチンを受けたほうがよいのか迷っている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
