少しずつ見えてくる病気がある
「結局なんの病気なんですか?」
診療をしていると、そう感じられているのではないか、と思う瞬間があります。
もちろん、その場で診断がつくこともあります。
典型的な症状や検査結果がそろっている場合、すぐに治療方針をご説明できます。
その場でわかることでいえば
インフルエンザ 発熱や喉の痛みがあり、検査で陽性が出れば即診断・即治療が可能です。
この2025年8月でも、陽性の方がいました。
新型コロナ 同様の症状で、特に喉の痛みが強く、その後咳や痰が出てくる。
そんな症状なら、特に越谷で今はやっているので、かもしれない、と疑うことも検査が必要だな、とも思えます。
骨折 ころんだあとに歩くと激痛があり、レントゲンで骨折が確認されれば、その場で診断がつき治療が始まります。
このように診断と治療が一度に決まる状況はわかりやすいです。
積み重ねてわかること
しかし、医療はいつも即答できるわけではありません。
むしろ多くの場合は
「現時点で分かっていること」
と
「まだ分かっていないこと」
を整理し、いくつかのステップを踏んでいく必要があることのほうが多いです。
たとえば
生活習慣病(高血圧・糖尿病など)
一度の測定値だけでは診断せず、複数回の測定や追加検査を重ねて診断が確定します。
胸がドキドキする
様々な原因が考えられます。
心臓病やホルモンの異常、貧血だったり酸素不足。
睡眠が足りていない、とか、自律神経の問題だったり。
不安でつらい思いをしている影響だったり。
ジェットコースターの順番待ち列に並ぶだけでもドキドキしますからね。
様々な可能性を考えていく必要があります。
不明熱(原因が分からない発熱)
血液検査、エコーやCTなどの画像検査、経過観察を組み合わせて、少しずつ原因に迫っていきます。
治療を行い、数日間をかけてその反応を確認したり、熱は続いているが状態が改善しているのを見極めていったり。
細菌性肺炎でも抗生剤投与をして、48−72時間で改善傾向をしていくのが通常です。
すぐに熱が下がらないから治療が効いていない、とか、診断がおかしい、とか考え始めるのは早計なこともあります。
耐性菌の出現や、二次感染、薬剤熱、脱水でないのか?
などの可能性も経過中に順次考えては対策を立てたりします。
大切な心づもり
患者さんに知っておいていただきたいのは、
医療は「一度の診察で全部が分かる」ものばかりではない
分からないことを“分からない”とお伝えするのも誠実な医療の一部にもなり得ます。
適当に口からでまかせをいえば無責任の極みにあたり、混乱するだけでもあります。
現時点でわかっていること、現時点ではまだわかっていないこと、があるということです。
その中では、
「次に何をするのか」
「いつ説明が更新されるのか」
が大切な道しるべになっていくものでしょう。
診断や治療は、ゴールまでの道のりを一緒に歩んでいくプロセスです。
治るタイプの病気なら、なおさら。
その場で分かることもあれば、積み重ねの中で少しずつ明らかになることもある。
私たちはその一歩一歩を患者さんと共有し、安心して次のステップに進めるようにご説明していきます。
感染症で言えば。
治ったらそれでいいのか?
周りの方に感染を広めてしまう可能性は?
次を予防するためにはどうすればいいのか?
ワクチンなどの手立ては、なおったあとでも有用なのか?
などなど一歩一歩とは案外長いものとも思っています。
