コレステロールが高い。その時の考え方 その4
LDL治療の目標は「何mg/dL下げるか」だけではありません
2026年ガイドラインでは、LDL-Cの絶対値の目標が再び明確に示されました。
同時に、治療前から何%下げたかという低下率も重視します。
境界リスク
10年リスク3~5%未満で、治療を開始する場合は、
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LDL-Cを30~49%低下
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LDL-C 100 mg/dL未満
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non-HDL-C 130 mg/dL未満
を目標にします。
中間リスク
10年リスク5~10%未満では、少なくとも中強度スタチンを使用し、
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LDL-Cを30~49%以上低下
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LDL-C 100 mg/dL未満
-
non-HDL-C 130 mg/dL未満
を目標にします。
リスク範囲の上限に近い場合は、高強度スタチンを検討します。
高リスク
10年リスク10%以上では、
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LDL-Cを50%以上低下
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LDL-C 70 mg/dL未満
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non-HDL-C 100 mg/dL未満
を目標にします。
最大耐容量のスタチンで目標に届かない場合は、エゼチミブの追加を検討します。
薬はスタチンだけではありません
LDL-Cを下げる薬として最も基本になるのはスタチンです。
スタチンは、肝臓でのコレステロール合成を抑え、肝臓のLDL受容体を増やすことで血液中のLDL-Cを下げます。
心筋梗塞や脳梗塞を減らす効果が、多くの臨床研究で確認されています。
しかし、スタチンだけで目標に届かない場合や、副作用のため十分な量を使用できない場合には、他の薬剤を組み合わせます。
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エゼチミブ
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PCSK9阻害薬
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インクリシラン
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ベンペド酸
などです。
どの薬を追加するかは、
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必要なLDL低下幅
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注射薬を受け入れられるか
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投与頻度
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副作用歴
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費用
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合併症
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患者さんの希望
を考えて選択します。
特に費用は十分に配慮すべきと思っています。
生活習慣管理は、薬の代わりではなく治療の土台
LDL-Cが高いと、患者さんは、
「薬を飲めば食事は気にしなくてよいですか」
あるいは、
「食事を頑張れば薬はいりませんか」
と考えがちです。
実際には、生活改善と薬物療法は対立するものではありません。
生活習慣の改善は、すべての患者さんの治療の土台です。
食事管理 と 内服治療 を併用する必要性の理解が必要です。
食事
意識したいのは、飽和脂肪酸を減らし、食物繊維を増やすことです。
控えたい食品としては、
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脂身の多い肉
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ベーコン、ソーセージ
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バター
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生クリーム
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ラード
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菓子パン
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洋菓子
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揚げ物
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一部の加工食品
があります。
積極的に取り入れたい食品は、
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野菜
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海藻
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きのこ
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豆類
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大豆製品
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全粒穀物
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魚
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ナッツ類
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オリーブ油などの不飽和脂肪酸
です。
ただし、「コレステロールを下げる」とうたうサプリメントだけに頼ることは勧められません。
2026年ガイドラインでは、脂質異常症に対してサプリメントを用いてLDL-Cや中性脂肪を下げることは、データが限定的で一貫しておらず、ASCVD予防効果も不十分であるため推奨されていません。
体重管理
体重が多い方では、体重を5~10%減らすことで、
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中性脂肪
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血圧
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血糖
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脂肪肝
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睡眠時無呼吸
が改善することがあります。
ただし、遺伝的にLDL-Cが高い方では、減量だけで十分に下がらない場合があります。
運動
一般的には、
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速歩などの中強度有酸素運動を週150分程度
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筋力トレーニングを週2回程度
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長時間座り続けない
ことを目標にします。
運動はLDL-Cを大きく下げないこともありますが、
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HDL-C
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中性脂肪
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血圧
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血糖
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体重
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心肺機能
を改善し、心血管リスク全体を下げます。
禁煙
喫煙は、LDLの数字以上に動脈硬化リスクを高める重要な要因です。
LDL-Cがそれほど高くなくても、喫煙が加わると心筋梗塞リスクは高くなります。
禁煙は、脂質管理と同じくらい重要です。
タバコやめたらLDL-Cが下がる、という話ではありません。
「薬を飲み始めたら一生ですか」
よく聞かれる質問です。
スタチンなどの脂質低下薬は、服用している間に効果を発揮します。
中止すれば、多くの場合LDL-Cは元の水準に近づきます。
したがって、
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家族性高コレステロール血症
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心筋梗塞や脳梗塞の既往
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高い冠動脈石灰化
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糖尿病
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CKD
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複数の危険因子
がある場合には、長期継続が基本になります。
一方で、
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体重減少
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食生活改善
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禁煙
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原因薬剤の中止
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甲状腺機能低下症の治療
などによりリスクが変化した場合は、治療内容を見直すことがあります。
大切なのは、「一生飲むかどうか」を開始前に決め切ることではありません。
治療後のLDL-C、体調、副作用、画像所見、生活習慣の変化を見ながら定期的に再評価します。
LDLが高いと言われたときに、患者さんが確認したい10項目
診察の際には、次の項目を確認すると、自分の治療方針を理解しやすくなります。
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LDL-Cはいくつですか
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過去から何年間高い状態が続いていますか
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心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患はありませんか
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糖尿病、高血圧、CKD、喫煙はありませんか
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若くして心筋梗塞になった家族はいませんか
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PREVENTによる10年リスクはいくつですか
(英語ですが計算できるリンクを貼っておきます) -
30年リスクを考える必要はありますか
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Lp(a)を一度測定しましたか
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ApoBやnon-HDL-Cを確認したほうがよいですか
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冠動脈石灰化はどの程度か。
「LDLコレステロールが高い」と言われたときに大切なのは、LDLの数字だけに一喜一憂しないことです。
LDL-Cは、単なる検査値ではありません。
それは、将来の心筋梗塞や脳梗塞を予防するための、重要な手がかりです。
一方で、数字が高いからといって、全員が同じ治療になるわけでもありません。
生活習慣だけで経過をみられる方もいれば、早期に薬物療法を始めたほうがよい方もいます。
すでに動脈硬化が進んでおり、より厳格な目標が必要な方もいます。
戸頃循環器内科クリニックでは、LDL-Cだけでなく、血圧、血糖、腎機能、家族歴、頸動脈、冠動脈石灰化などを総合的に評価し、一人ひとりの将来リスクに応じた治療方針をご提案します。
「LDLが高いと言われたけれど、薬が必要なのか分からない」
「家族に心筋梗塞が多く心配」
「胸部CTで冠動脈石灰化を指摘された」
「スタチンを飲んでいるが、目標値に達しているか知りたい」
という方は、一度ご相談ください。
