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コレステロールが高い。その時の考え方 その4

[2026.07.27]

LDL治療の目標は「何mg/dL下げるか」だけではありません

2026年ガイドラインでは、LDL-Cの絶対値の目標が再び明確に示されました。

同時に、治療前から何%下げたかという低下率も重視します。

境界リスク

10年リスク3~5%未満で、治療を開始する場合は、

  • LDL-Cを30~49%低下

  • LDL-C 100 mg/dL未満

  • non-HDL-C 130 mg/dL未満

を目標にします。

中間リスク

10年リスク5~10%未満では、少なくとも中強度スタチンを使用し、

  • LDL-Cを30~49%以上低下

  • LDL-C 100 mg/dL未満

  • non-HDL-C 130 mg/dL未満

を目標にします。

リスク範囲の上限に近い場合は、高強度スタチンを検討します。

高リスク

10年リスク10%以上では、

  • LDL-Cを50%以上低下

  • LDL-C 70 mg/dL未満

  • non-HDL-C 100 mg/dL未満

を目標にします。

最大耐容量のスタチンで目標に届かない場合は、エゼチミブの追加を検討します。


薬はスタチンだけではありません

LDL-Cを下げる薬として最も基本になるのはスタチンです。

スタチンは、肝臓でのコレステロール合成を抑え、肝臓のLDL受容体を増やすことで血液中のLDL-Cを下げます。

心筋梗塞や脳梗塞を減らす効果が、多くの臨床研究で確認されています。

しかし、スタチンだけで目標に届かない場合や、副作用のため十分な量を使用できない場合には、他の薬剤を組み合わせます。

  • エゼチミブ

  • PCSK9阻害薬

  • インクリシラン

  • ベンペド酸

などです。

どの薬を追加するかは、

  • 必要なLDL低下幅

  • 注射薬を受け入れられるか

  • 投与頻度

  • 副作用歴

  • 費用

  • 合併症

  • 患者さんの希望

を考えて選択します。

特に費用は十分に配慮すべきと思っています。

 

生活習慣管理は、薬の代わりではなく治療の土台

LDL-Cが高いと、患者さんは、

「薬を飲めば食事は気にしなくてよいですか」

あるいは、

「食事を頑張れば薬はいりませんか」

と考えがちです。

実際には、生活改善と薬物療法は対立するものではありません。

生活習慣の改善は、すべての患者さんの治療の土台です。

食事管理 と 内服治療 を併用する必要性の理解が必要です。

食事

意識したいのは、飽和脂肪酸を減らし、食物繊維を増やすことです。

控えたい食品としては、

  • 脂身の多い肉

  • ベーコン、ソーセージ

  • バター

  • 生クリーム

  • ラード

  • 菓子パン

  • 洋菓子

  • 揚げ物

  • 一部の加工食品

があります。

積極的に取り入れたい食品は、

  • 野菜

  • 海藻

  • きのこ

  • 豆類

  • 大豆製品

  • 全粒穀物

  • 魚

  • ナッツ類

  • オリーブ油などの不飽和脂肪酸

です。

ただし、「コレステロールを下げる」とうたうサプリメントだけに頼ることは勧められません。

2026年ガイドラインでは、脂質異常症に対してサプリメントを用いてLDL-Cや中性脂肪を下げることは、データが限定的で一貫しておらず、ASCVD予防効果も不十分であるため推奨されていません。

体重管理

体重が多い方では、体重を5~10%減らすことで、

  • 中性脂肪

  • 血圧

  • 血糖

  • 脂肪肝

  • 睡眠時無呼吸

が改善することがあります。

ただし、遺伝的にLDL-Cが高い方では、減量だけで十分に下がらない場合があります。

運動

一般的には、

  • 速歩などの中強度有酸素運動を週150分程度

  • 筋力トレーニングを週2回程度

  • 長時間座り続けない

ことを目標にします。

運動はLDL-Cを大きく下げないこともありますが、

  • HDL-C

  • 中性脂肪

  • 血圧

  • 血糖

  • 体重

  • 心肺機能

を改善し、心血管リスク全体を下げます。

禁煙

喫煙は、LDLの数字以上に動脈硬化リスクを高める重要な要因です。

LDL-Cがそれほど高くなくても、喫煙が加わると心筋梗塞リスクは高くなります。

禁煙は、脂質管理と同じくらい重要です。

タバコやめたらLDL-Cが下がる、という話ではありません。



「薬を飲み始めたら一生ですか」

よく聞かれる質問です。

スタチンなどの脂質低下薬は、服用している間に効果を発揮します。

中止すれば、多くの場合LDL-Cは元の水準に近づきます。

したがって、

  • 家族性高コレステロール血症

  • 心筋梗塞や脳梗塞の既往

  • 高い冠動脈石灰化

  • 糖尿病

  • CKD

  • 複数の危険因子

がある場合には、長期継続が基本になります。

一方で、

  • 体重減少

  • 食生活改善

  • 禁煙

  • 原因薬剤の中止

  • 甲状腺機能低下症の治療

などによりリスクが変化した場合は、治療内容を見直すことがあります。

大切なのは、「一生飲むかどうか」を開始前に決め切ることではありません。

治療後のLDL-C、体調、副作用、画像所見、生活習慣の変化を見ながら定期的に再評価します。


LDLが高いと言われたときに、患者さんが確認したい10項目

診察の際には、次の項目を確認すると、自分の治療方針を理解しやすくなります。

  1. LDL-Cはいくつですか

  2. 過去から何年間高い状態が続いていますか

  3. 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患はありませんか

  4. 糖尿病、高血圧、CKD、喫煙はありませんか

  5. 若くして心筋梗塞になった家族はいませんか

  6. PREVENTによる10年リスクはいくつですか
    (英語ですが計算できるリンクを貼っておきます)

  7. 30年リスクを考える必要はありますか

  8. Lp(a)を一度測定しましたか

  9. ApoBやnon-HDL-Cを確認したほうがよいですか

  10. 冠動脈石灰化はどの程度か。

 

「LDLコレステロールが高い」と言われたときに大切なのは、LDLの数字だけに一喜一憂しないことです。

LDL-Cは、単なる検査値ではありません。

それは、将来の心筋梗塞や脳梗塞を予防するための、重要な手がかりです。

一方で、数字が高いからといって、全員が同じ治療になるわけでもありません。

生活習慣だけで経過をみられる方もいれば、早期に薬物療法を始めたほうがよい方もいます。

すでに動脈硬化が進んでおり、より厳格な目標が必要な方もいます。

 

戸頃循環器内科クリニックでは、LDL-Cだけでなく、血圧、血糖、腎機能、家族歴、頸動脈、冠動脈石灰化などを総合的に評価し、一人ひとりの将来リスクに応じた治療方針をご提案します。

「LDLが高いと言われたけれど、薬が必要なのか分からない」
「家族に心筋梗塞が多く心配」
「胸部CTで冠動脈石灰化を指摘された」
「スタチンを飲んでいるが、目標値に達しているか知りたい」

という方は、一度ご相談ください。

 

その5へつづく

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