インフルエンザB型の流行とSpotfire
1-2月は「インフルB」が流行しています。
1月末からの当院の発熱外来では、越谷市・草加市にお住いの方での インフルエンザB型感染 がかなり目立っています。
例年だと「A型が大勢、B型はほんのり」——そんな印象の年が多いのですが、今年は違います。
B型でつらい思いをして来院される方が、明らかに多いと感じています。
インフル検査の“あるある” 鼻グリがつらいのに、陰性?
インフルエンザの診断は、症状の確認・診察・経過、そして抗原検査を組み合わせて判断するのが一般的です。
抗原検査は、いわゆる 鼻グリ。
細い綿棒を鼻の奥へ進めて、ぐりぐりして検体を採取します。
そして迅速キットで、ウイルス特有のタンパク(抗原)を検出します。
コロナとの同時流行もあるので、コロナ+インフルの同時抗原キットを使う場面もあります。
ただ、この手軽さには はっきりした弱点があります。
ウイルス量がある程度増えていないと検出できないため、感染していても検査が陰性になる(偽陰性)ことが起こり得ます。
つまり、「悪化(=体内で増殖)してきて、やっと陽性になりやすい」という特徴です。
感染があるかどうか、悪化する前に判定したいのが本音です。
たとえば
あなたは14歳の中学生と思ってください。
いつも通り学校で過ごしていたのに、午後あたりから、なんだかだるい。
帰宅して体温を測ると 36℃台。熱はない。
けれど、だるさはある。
心配になって受診してみると、院内で測った体温は——
「38℃」
「どおりで寒気があったわけだ…」
そして診察では
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発熱から間もないと、抗原検査は陰性になりやすい
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時間をおいて再検査することがある
…という特徴があると説明を受けられる。
「発症12時間後って真夜中でしょ」
「48時間以内って、また明日?」
「また来て、また鼻グリ…?」
体調が悪いのに。
家族にうつすかもしれないのに。
親にまた付き添って、なんて頼みにくい。
この“詰み感”、何度も見てきました。
より早く・より正確に判断するために
この状況を少しでも変えるために、戸頃循環器内科クリニックでは SpotFire®(多項目同時PCR) を導入しました。
この検査のポイントはシンプルです。
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1回の検体採取で(鼻咽頭)
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複数の呼吸器病原体を同時に(例:インフルA/B、SARS-CoV-2、RS、百日咳菌など)
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約15〜20分で結果が出る(しかも発症早期から検出できます)
さらに、検査性能は「陽性一致率・陰性一致率が概ね高い」ことが示されています。
※もちろん、どんな検査でも“万能”ではなく、症状のタイミングや臨床像と合わせて判断するのが大前提です。
早く分かると、何が変わるか
診断が早く確度高くつくと、次の判断が一気に前に進みます。
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適切な治療(必要なときに、必要な薬を)
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適切な予防策(家族・職場・学校への配慮)
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適切な対処(受診の目安、隔離の要否、生活の工夫)
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回復までの遠回りを減らす(「明日また来て再検査」を減らす)
インフルエンザでは状況により、周囲の方への対応(予防投与を含む考え方)や、物理的な隔離の必要性まで含めて検討できます。
他院で、検査を受けたもののはっきりわからず、でも感染と思われる症状が良くならないときにも有用と考えます。
百日咳も早期に気づける可能性が上がります
さらにこの検査は、百日咳菌 なども同時に検出対象に含まれます。
百日咳は、早期に抗菌薬を使えると、長引く咳の負担を減らせる可能性があります。
(もちろん重症度や病期で最適解は変わります)。
地域の安心のために
当院の発熱外来では、日々の診療の中で「正しく、早く」判断できる体制を整えることで、
患者さん本人のつらさを減らし、同時に感染拡大のリスクも少しでも下げたいと考えています。
心臓や血管の治療だけでなく、日常生活に直結する感染症についても、これからも丁寧に取り組んでいきます。
越谷の地域医療に、少しでも貢献できたらと考えております。
