アップルウォッチで心房細動をみつける
心房細動は日本でおよそ100万人の方がいると言われています。
病気があるのに見つかっていない、すなわち治療もされていない方も相当数いらっしゃるということもわかっています。
心房細動に対する考え方はシンプルです。
- 見つける(見つかる)
- 治す
- 付き合う
この3方針となります。
今日は、心房細動を見つける、あるいは見つかる、という話です。
2020年8月にアップル社の不規則な心拍の通知プログラム、が医療機器承認となりました。
そして、その心房細動履歴を記録することが可能になりました。
心房細動は徐々に悪化していくことがあります。
無症状の方が半分くらいいらっしゃいますので、不整脈の一つである心房細動が出ていても、日常生活には困っていない、ということはよくあります。健康診断でたまたま見つかる心房細動の方ですね。
定期的な運動や、適切な食生活、体重管理、心房細動へ悪影響になる病気を治療することでも、発作は減らすことが出来ます。
ただ、心房細動を放置すると(見つかってない場合は放置にならざるを得ません)脳梗塞や心不全などの原因となります。
適切な治療があるので、早期に発見するメリットが大きいです。
今回は、その心房細動を見つけることができるかも、という話です。
アップル社は古くはマッキントッシュというパソコンを作っていました。私の周りの医師が多く使っており、学生の頃から私も愛用しております。
iPhoneが発売となり日本では多くの人が使っていて、さらにはアップルウォッチが販売され、これも多くの人に使われるようになっております。
普段つけている時計、が心電図を記録し異常を察知できるようになった、という画期的な話です。
充電中や入浴時にはアップルウォッチを外すことになりますが、装着している時間はずっと心電図をチェックしていくれ、脈拍が乱れたり、早すぎ遅すぎ、を検知し教えてくれるのです。
実際、私の循環器外来でもアップルウォッチで心房細動って出たんだけど何でしょうか、と受診される方がここ最近増えてきています。
アップルウォッチが異常を知らせてくれたパターンと、ドキドキしたり胸の違和感があるときに、心房細動通知が表示されたパターンと、二通りです。
治療が必要になりアブレーションを受けていただき、その後の再発がないこともアップルウォッチでも参考にしています。
装着のコツは、バンドを手首から離れないように巻くこと、膝やテーブルなどに手首をおいておくと、不自然な振動が発生せず、綺麗に測定できるようです。
更にスマートフォンのいろんなアプリとも連携できます。
エクササイズ時間や、睡眠時間、体重変動、マインドフル時間なども記録できるので、心房細動が起こった原因や悪影響の因子なども解析ができます。
飲酒量もメモに残しておくと、アルコールの影響の判定にも役立ちます。
患者さんの生活はひとりひとり違うのです。
なら、そういった生活のデータを見ていけば、その方が気をつけた方が良い点も探すことが出来ます。
一律でこうしたほうが、とか、一般的にこれが良いと言われています、では結局どうすればいいのかわからなくなります。
覚えられないし、窮屈すぎるきがします。
なので、こういったアップルウォッチやスマートフォンのアプリなどを併用し、ただ身につけているだけ、という状態でデータ見ていくと気楽に心房細動を見つけることが出来、治療に結びつき、その後の再発があるかどうか、再発を抑える生活が出来ているかどうかもわかる時代になってきているのです。