ぼーっとした時間
ふと「今晩の夕飯どうしよう?」
とか
「あの映画のシーンでのセリフはどういう意味だったのかな」
なんて別のことを考え始めてしまうことがあります。
これには名前がついています。
マインドワンダリング Mind wandering という現象です。
ちょっと難しく聞こえますが、要するに「ぼんやり考え事をする時間」のことです。
私たちの脳は、起きている時間の30〜50%もこのマインドワンダリングをしていると言われています。
集中しなきゃいけないときに、なんでぼんやりしてしまうんだろう?
そんなふうに思う方もいるかも知れません。
でも、実はこのぼんやりする時間は、私たちの生活や仕事にとって意外と役に立つことが分かってきました。
最近の研究では、マインドワンダリングが隠れたパターンを見抜く力を高めることが明らかになりました。
例えば、複雑な仕事の中に潜むルールや、普段の生活で感じるなんとなくこうなる気がするという予感のようなもの。
この能力が高まることで、仕事でもプライベートでも次に起こることをうまく予測する力が磨かれるのです。
Mind wandering enhances statistical learning
Ve ´ kony et al., 2025, iScience 28, 111703
これはまだ完全には解明されていません。
この論文では、ぼんやりしている間、脳は目の前の作業から離れてバックグラウンド処理をしていると考えられています。
外からの情報に頼らず、過去の経験や記憶を引っ張り出して、今、これが起こっているってことは、次はこうなるんじゃないか?と考える力が働いているのです。
言い換えると、マインドワンダリングは脳が自動的に「次にどう動けばいいか」を計算している時間ともいえます。
このぼーっとしている時間は何に役立っているのかなと考えます。
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散歩中や移動中のぼんやり時間
忙しい日常の中で、短い移動時間や散歩中に意図的にぼんやりする時間を作ることで、仕事のアイデアや家事の効率アップにつながることがあります。 -
新しい挑戦に備える
例えば、何か新しいことを始める前に、無意識のうちに次はどう動くべきかを考えていることがあります。
こういうときには、無理に集中しようとせず、ちょっと休憩してぼんやりするのもいいかもしれません。 -
眠る前のリラックス時間
寝る前にスマホをいじるのではなく、ゆっくりした音楽を聴いたり、絵を見たりしてぼっとしています。
意外なひらめきがあるかもしれません。
ぼんやり、ぼーっとする時間は、決して無駄な時間ではないようです。
それどころか、日常の中で役立つ予測力やひらめきを鍛える時間、と言えるのかもしれません。
心も体も健康であるためには、休む時間も大切。
次回、ぼんやりしている自分を見つけたときは、これは脳が未来を予測してくれているんだ!と思うのも楽しいですね。
今日は人参を面取りして、茹で。
にんにくの香りをつけたオリーブオイルとバターで人参をアロゼ。
塩とこしょうを振っていただきました。
今週読んだこのマインドワンダリングの論文のことをぼっーと考えながら人参の甘みを感じていました。