脳梗塞の診断・治療
脳梗塞とは
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで、その先の脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、細胞が死んでしまう病気です。脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」とあわせて、「脳卒中」と総称されます。
脳の細胞は一度死んでしまうと元には戻りません。そのため、手足のマヒ、言葉が出にくい・ろれつが回らない、片方の目が見えにくいといった障害が、後遺症として残ってしまうことがあります。命に関わることも多く、日本人の死因でも上位を占める病気です。
一方で、脳梗塞は「発症する前に備えられる病気」でもあります。CTやMRIなどの検査で血管や脳の状態を調べることで、危険な兆候を早い段階で見つけることができ、生活習慣や体質から「なりやすいタイプ」もかなり分かってきています。
見逃してはいけない前兆(一過性脳虚血発作)
本格的な発作の前に、「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる前触れの症状が出ることがあります。これは血管が一時的に詰まって起こるもので、次のような症状が数分から数十分ほど続き、その後自然に治まるのが特徴です。
- 片側の手足に力が入らない、しびれる
- 言葉が出てこない、ろれつが回らない
- 片方の目が急に見えにくくなる、視野が欠ける
- 立てない、ふらついてまっすぐ歩けない
症状がすぐ治まると「気のせいだった」と見過ごしがちですが、これは本格的な脳梗塞が近づいているサインです。症状が治まっても、できるだけ早く受診することが大切です。
いざというときは、「FAST」を覚えておくと役立ちます。
Face(顔の片側がゆがむ)
Arm(片腕が上がらない)
Speech(言葉が出ない・おかしい)
Time(発症時刻を確認してすぐ受診)
の頭文字です。
これらの症状が急に現れた場合は、ためらわずに救急要請してください。
治療は時間との勝負で、早いほど後遺症を軽くできます。
脳梗塞になりやすい方
次のような項目に当てはまる方は、血管が傷んだり詰まったりしやすく、注意が必要です。
- お酒を多く飲む習慣がある
- たばこを吸っている
- 運動不足である
- 肥満の傾向がある
- 味の濃い食事(塩分の多い食事)を好む
- 高血圧がある
- 糖尿病がある
- 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)がある
- 不整脈(心房細動など)をはじめとする心臓の病気がある
高血圧・糖尿病・脂質異常症などは、自覚症状がないまま少しずつ血管を傷めていきます。
また、心房細動などの不整脈があると、心臓の中でできた血のかたまり(血栓)が脳に飛んで、太い血管を突然詰まらせることがあります。
当てはまる項目が多いほどリスクは高まりますので、早めのチェックをおすすめします。
診断・検査
まずは、健診や外来での問診・診察に加え、血圧測定や血液検査で危険因子を確認します。
そのうえで、必要に応じて次のような検査を行います。
CTやMRIでは、脳の状態や、すでに小さな梗塞が起きていないかを確認します。
MRA(MRIを使った血管の検査)や頸動脈エコーでは、血管が細くなっていないか、動脈硬化が進んでいないかを調べます。
また、不整脈が疑われる場合は心電図で心臓の状態を確認します。
これらの検査を組み合わせることで、発症前でも「詰まりやすさ」のリスクを評価することができます。
予防・治療
治療の基本は、脳梗塞を「起こさせない」ことです。
血管が詰まるリスクが高い方には、血栓(血のかたまり)をできにくくするお薬を処方し、あわせて高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病をしっかり管理していきます。
禁煙、減塩、適度な運動、飲酒を控えるといった生活習慣の見直しも、予防にはとても効果的です。
すでに動脈硬化が進み、血管が大きく細くなっている場合には、内服による治療だけでなく、血管を広げる手術(頸動脈の内膜剥離術やステント留置など)を検討することもあります。
この場合は、専門的な治療が可能な医療機関と連携しながら対応いたします。
当院へご相談ください
脳梗塞は、いったん発症すると重い後遺症を残しかねない、こわい病気です。
しかし、リスクを早めに把握して対策すれば、十分に予防できる病気でもあります。
「血圧が高め」「家族に脳卒中の人がいる」「前ぶれのような症状があった」など、気になる点がある方は、症状が出る前にぜひ当院までご相談ください。
