胃腸炎
胃腸炎とは、胃や小腸・大腸などの消化管に炎症が生じた状態です。
胃腸炎には、感染性胃腸炎(ウイルス・細菌)と非感染性胃腸炎に分かれます。
感染性胃腸炎は別名、おなかの風邪、と表現することもあります。
原因
感染性胃腸炎は、胃腸のウイルス、細菌の感染により引き起こされます。
周囲への感染がありますので、うつらない・うつさない、といった注意が必要です。
病原性大腸菌やサルモネラ菌も知られています。
ロタウイルスは、アルコールなどの消毒液では消毒効果がほとんどありません。感染力が非常に強いため、家庭内で感染を完全に予防することは困難です。
例年、3−5月に乳幼児を中心に流行してきました。
厚生労働省のHPに詳細に記載がありますのでご参考にしてください。
症状
胃の痛み
胃のむかつき
吐き気
腹痛
下痢
発熱
などがあります。
下痢が続き、水分補給が足りないと脱水になりさらに症状が悪化することがあります。
重症な状態であるかどうかについての指標があります。
- 38度以上の発熱
- 下痢が6回以上
- 腹痛が強い
この3つが当てはまるときには注意が必要です。
原因がウイルスではなく、細菌性の可能性も疑います。
そのため、抗生物質を必要とすることもあります。
さらに重要なことは、脱水の程度はどうか? という点です。
特にお子様や、ご高齢の方では、ぐったりしているかどうか?
あるいは、症状のピークが超えているかどうか?
水分や食事を取れるようになっているかどうか?
などが非常に重要です。
検査
炎症の程度やを調べるために血液検査を行うことがあります。
胃腸炎以外にも腹痛を起こす病気の可能性がある場合にレントゲンやCTスキャンを行うことがあります。
治療法
基本的には内服薬で治療を行います。
吐き気が強く、内服が出来ないときには点滴療法を併用します。
胃の痛み・不快感;胃酸の分泌を抑える薬、胃粘膜保護薬などを用います。
吐き気;吐き気を抑える薬を用います。内服が難しいときには吐き気止めの注射薬も有効です。
腹痛;腸の動きを抑える薬を用います。
下痢;整腸剤を用います。
多くは、治療をしなくともいずれは収まることが通常です。
症状を楽にするための治療でもある、と理解されるのが良いと思われます。
※ 下痢止めに関して<感染性腸炎では、下痢止めを用いることでウイルスや細菌が、体内から排出できなくなってしまうことがあります。
そのため、感染性腸炎の可能性があるときには、下痢止めは用いません。>
当院では、胃腸炎の症状に合わせて、胃薬や整腸剤、点滴治療を行っています。
また症状の原因検索で必要に応じて、レントゲン検査やCTスキャンを当日予約不要で行います。
※胃腸炎にしてはおかしい?と思える状況について
「嘔吐は24時間程度でピークを超えた。その後 下痢が始まった。」
>>ではないのは、普通の胃腸炎ではなく、他の病気による症状の可能性があります。
「24時間以上続く、吐き気・嘔吐のみ」
>> 胃腸炎では1日以上症状が続くことは稀です。
他の病気による症状の可能性があります。
「下痢のない胃腸炎」は、おかしいです。
他の病気による症状の可能性があります。
「頻回の水様性下痢ではない」のは、おかしいです。
「腹痛のない胃腸炎」は、おかしいです。
上記のパターンでも、胃腸炎であることはありますが、他の原因の可能性もあり得る状況です。
今後の経過に注意し、症状や状況に変化があったときには再度、ご相談下さい。
典型的な胃腸炎では
「最初は吐き気が辛かった。徐々に落ち着いてきたが、今度はトイレに行くたびに、おしりからおしっこが出るような下痢便が何回もある」
という場合では、典型的な胃腸炎と思われます。
水分をしっかり取ることが大事です。
ただし、スポーツドリンクは控えたほうがいいです。
いわゆるアイソトニック飲料、というものです。
下痢の際は、水分のほかに塩分やカリウムも排泄されます。
そのため、ミネラルを補給する必要があります。
アイソトニック飲料は運動前の水分補給に適していますが、下痢の際は症状が悪化することがあります。
アイソトニック飲料を大量に飲むと腸に吸収されにくいです。
そのため、嘔吐の原因になることがあります。
何を飲むか?
- 経口補水液 OS-1
- 味噌汁、野菜スープ、野菜ジュース、昆布茶
- リンゴジュース
戸頃循環器内科クリニックでは、嘔吐や下痢などの症状でつらい思いをされている方の治療にもあたっております。
いつでもご相談ください。
参考院長ブログ
感染性胃腸炎の流行について